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「桜を見る会」を議論している場合か

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首相主催の毎春恒例の「桜を見る会」に後援会関係者が多く招待されているとの批判を受け、安倍晋三首相は来年の会の中止を決定した。これに対し、第1野党である立憲民主党の安住淳国会対策委員長は「首相が非を認めたので徹底的にやる」と息巻き、野党は衆参両院で首相が出席する予算委員会集中審議を求めている。マスコミも本件の報道に多くの時間とスペースを割いている。

 

東アジア情勢の緊迫、とりわけ香港で民主化を求める市民のデモに対する警察の弾圧が激化している中で米議会はどう対応し、中国はどう対抗しようとしているのかをつぶさに観察すれば、現在の日本の「桜を見る会」をめぐる議論が如何に低レベルであるかが分かる。

 

 

高まる香港武力介入への懸念

 

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米議会では、香港に高度の自治を認めた「一国二制度」が守られているかを毎年検証することを国務省に義務付ける超党派の「香港人権・民主主義法案」が10月15日に下院を全会一致で通過、上院でも間もなく採択される見通しである。これに対して、中国は「対抗措置を取る」と強烈に反発した。
11月14日には米議会の超党派諮問機関である米中経済安全保障調査委員会の年次報告書が公表された。この中で、議会に対する勧告の一つに「もし中国政府が人民解放軍や武装警察を投入して香港に武力介入した場合、(米国による)香港への優遇措置を停止する法律を制定する」ことを求めている。台湾に関しても、中国の武力統一の試みを抑止する今後15年間の行動計画策定に向けた研究を行うよう国防総省に指示することを議会に要請し、台湾との軍事交流と合同演習を活発化するための法整備を促している。

 

米国のみならず、8月の先進7カ国(G7)サミット合意では、香港住民の大規模デモを暴力で鎮圧しないよう求めている。

 

 

中国はデモ隊制圧を示唆

 

これに対し、ブラジルで行われている新興5カ国(BRICS)首脳会議に出席中の習近平中国国家主席は、香港の抗議活動を「暴力的な犯罪行為」とし、徹底的に取り締まる考えを示した。

 

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また中国共産党機関紙人民日報系の環球時報は13日、「警察力を弱めれば暴徒を助ける」という記事を掲載し、より強硬な制圧を示唆している。その場合、香港に隣接する中国の深?に待機している人民解放軍傘下の武装警察を投入する可能性もある。16日の米紙

ウォール・ストリート・ジャーナルは、人民解放軍兵士が香港の兵舎の外に出て、デモ隊が残した道路の障害物や瓦礫を撤去したことを伝え、人民解放軍の今後の役割について憶測をかき立てたと報じた。

 

時間が限られている中で、日本は香港での人権や民主主義を守るためにどう対応するのか、中国に武力介入させないため国際的にどんなメッセージを発するべきか、今、国会はそれを議論すべきではないのか。

 

筆者:太田文雄(国基研企画委員兼研究員)

 

 

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国家基本問題研究所(JINF)「今週の直言」第633回(2019年11月18日付)を転載しています。

 

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