【主張】習主席「国賓」延期 対中政策の抜本見直しを

 

日中両政府が、4月上旬に予定していた、習近平中国国家主席の国賓としての来日を延期すると発表した。

 

中国・武漢で発生した新型コロナウイルスの感染が両国で広がり続けている。菅義偉官房長官は記者会見で、延期の理由について「新型コロナウイルスの拡大防止を最優先する必要がある」と語った。

 

両国政府は、新型ウイルスの脅威から国民を守らなければならず、華々しい首脳外交をしている余裕などない。延期は当然で、発表は遅すぎたくらいだ。

 

新型ウイルスの発生国の首脳として、深刻な事態の収束に専念することが、国際社会に対する責任であろう。

 

訪問時期を再調整するというが、国賓来日は延期ではなく抜本的に見直すべきである。

 

国賓は、天皇陛下が自らもてなされる。日本国として最高の接遇をするものだが、習氏はそれにふさわしくない。

 

新型ウイルスの問題がなくても、最近の日中関係や中国の振る舞いを見れば、習氏の国賓来日は望ましくない。

 

中国は、尖閣諸島(沖縄県)を奪おうと狙っている。中国海警局の公船が尖閣海域に侵入しているのはそのためだ。大規模な軍拡や、国際法を無視した南シナ海の軍事化をやめようとしない。邦人の不当な拘束を続けている。

 

安倍晋三首相は「日中関係は正常な軌道に戻った」と述べてきた。昨年6月の会談で習氏に国賓招請し、「日中関係を次なる高みに引き上げたい」と語った。

 

中国との深刻な懸案に目をつむって、うわべだけの友好関係をとりつくろっても、日本の主権や国益を損なうばかりである。

 

新疆ウイグル自治区で約100万人のウイグル族を強制収容所に入れ、香港の「一国二制度」を壊している問題の最高責任者は習氏だ。人権弾圧を続ける国の指導者を国賓として歓迎する日本の姿をウイグル、香港や世界の人々に見せていいわけがない。

 

日米同盟は日本の安全保障の基軸で、米国は価値観を共にする唯一の同盟国だ。その米国は自由や民主主義、基本的人権を尊重しない共産党政権下の中国に対抗している。中国リスクが顕在化している今、安倍政権は国賓招請に象徴される融和外交を改め、対中政策を再構築しなければならない。

 

 

2020年3月6日付産経新聞【主張】を転載しています

 

 

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