英国の新首相、ボリス・ジョンソン氏:変人は英雄となるのか

 

第二次大戦時の首相、ウィンストン・チャーチルに関する本は、現在の英国でも年間100冊ほどが出版されているそうだ。『チャーチル・ファクター』(プレジデント社)もその一つである。新首相に就任するボリス・ジョンソン氏(55)が、ロンドン市長時代に刊行した。

 

「あなたは酔ってらっしゃるのね」。女性議員からかけられた言葉に、チャーチルはこう言い返した。「あなたはぶさいくでいらっしゃいますね」「私の酔いは朝には覚めるだろうがね」。序章で紹介するエピソードは、歴史的な背景を考慮しても差別的な発言と言わざるを得ない。

 

ジョンソン氏もまた、暴言や失言を繰り返してきた。最近も、目の部分以外を覆うニカブ姿のイスラム教徒女性を「郵便ポスト」にたとえて、批判を浴びたばかりだ。どうやら、自らを偉大な政治家になぞらえているようだ。

 

EUからの強硬離脱を主張してきたジョンソン氏は、与党・保守党の党首選で圧勝した。10月末までの離脱の実現に自信を示す。たとえ合意なき離脱となっても、国民の負担はほとんど生じないと楽観的である。

 

ナチス・ドイツの攻撃から英国を守り抜き、連合軍を勝利に導いたチャーチルのように、EU離脱という国難を乗り切ってみせる。ジョンソン氏は今、そんな高揚感に浸っているはずだ。もっとも、スコットランドや北アイルランドでは、残留派が多数を占める。EU側もジョンソン氏への警戒感をあらわにしている。一筋縄でいく問題ではない。

 

本の帯には、「変人はなぜ英雄となったか」とある。もしジョンソン氏が英雄になりきれずに、変人のままだったらどうなるか。英国はもちろん、欧州いや世界全体に、大きな混乱をもたらすことになる。

 

 

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