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【主張】全国に緊急宣言 感染拡大の移動抑え込め 検査と待機の態勢を整えよ

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安倍晋三首相が中国・武漢発の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、「緊急事態宣言」の対象区域を7都府県から全都道府県へ広げた。期間は大型連休最終日の5月6日のままとした。

 

北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都の6道府県と、7日に発令済みの7都府県とを合わせ「特定警戒都道府県」に指定し、特に重点的に対策を講じる。

 

国内で感染が確認された人は、退院した人も含めて約1万人となった。収束の傾向はうかがえず、首相が全国を緊急事態宣言の下に置いたことは妥当である。

 

 

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接触の削減が未達成だ

 

発令済みの7都府県で、政府が掲げた人と人との「最低7割、極力8割の接触削減」が達成されていない点を深刻にとらえたい。その上、新型ウイルスの感染は地方でも拡大傾向にある。

 

首相は17日の記者会見で「どうか外出を控えてください。できる限り人との接触を避けてください。そのことが医療現場を守り、多くの命を守り、ひいては皆さんや皆さんの愛する人を守ることにつながる。一人一人の行動にかかっている」と呼びかけた。

 

危機意識を共有し、ウイルスを封じ込めたい。多くの人や事業所が、もう一段の外出抑制、休業などをしなければ5月6日で宣言が終わらないこともあり得る。

 

政府が全国民を対象に1人当たり10万円の現金を給付する方針に転じたのも、日本が心を一つにして苦しいウイルス対策に取り組むためだ。

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休校の有無やどこまで休業を求めるかは、感染が広がっている13の特定都道府県とその他の県で対応が異なってくるだろう。ただし、全国一斉に急ぎ取り組むべき重大な課題がある。人の流れの最小化と医療態勢の強化である。

 

首都圏など都市部の感染が高齢者の割合が多く医師や医療機関の少ない地方へ及ぶことを防がなくてはならない。それには人の流れを大きく減らすしかない。

 

7都府県に宣言が出された際に地方への「コロナ疎開」を慎むよう呼びかけはあった。それでも長野県・軽井沢では首都圏ナンバーの車が急増した。茨城県ではパチンコ店の駐車場に首都圏ナンバーの車が目立つようになった。

 

沖縄県の玉城デニー知事は7日の宣言を受けて、期間中の沖縄への旅行自粛を呼びかけていた。だがその後、タレントの石田純一さんは感染に気づかないまま東京と沖縄を往復した。回復を祈るが、本人にそのつもりがなくても越境行為自体が地方の人たちを危険にさらすことを認識すべきだ。

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首相は16日、都道府県に対し、「ゴールデンウイーク(大型連休)に向けて、不要不急の帰省や旅行など都道府県をまたいで移動することを、蔓延(まんえん)防止の観点から絶対に避けるよう住民に促すようお願いする」と呼びかけた。

 

都道府県知事が住民に県境をまたぐ移動の自粛を求めるのは当然だが、それだけでは足りない。

 

 

医療従事者への配慮を

 

大型連休中の人の移動の最小化は政府が主導すべきだ。強制力はなくとも都道府県境や駅、空港で「越境」を抑止するにはどんな方策が可能か、早急に具体策を示してもらいたい。

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全国で急ぎ取り組むべき重大な課題の2つ目は、さらなる感染拡大に備えた医療態勢の整備だ。

 

東京などでは、医師が求めても検査がなかなか行われなかったり、感染が疑われる患者の搬送が数十件もの医療機関から断られたりする例が相次いでいる。

 

PCR検査と軽症者、無症状者を待機させる宿泊施設を整え、病院の負担を減らすことが早くから求められていたのに、なかなか手を付けなかったからである。今は感染者が少ない地方であっても、この轍(てつ)を踏んではならない。

 

東京や大阪などで動き出したがPCR検査センターや発熱外来などの施設を整え、重症者と中軽症者らを適切に分ける医療分業制の確立が必要だ。軽症者や無症状者は宿泊施設の利用を原則とし、自宅待機は極力避けたい。

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富山市では看護師が家族への感染を恐れ、車中泊を余儀なくされるなど医療態勢の維持が困難になっているという。最前線で戦ってくれている医療従事者の宿泊や食事を手配すべきである。

 

宣言によって全ての知事が法的根拠をもって行動できる。リーダーシップを発揮するときだ。

 

 

2020年4月18日付産経新聞【主張】を転載しています

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