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【台風19号】治水対策の見直し急務 50年に1度にどう備えるのか

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週末の台風19号による大雨で東日本では河川の氾濫や堤防の決壊が相次いだ。気象庁が「50年に1度」の大雨として、特別警報を出し厳重な警戒を呼びかけたが、氾濫を防ぐ手立てはなかったのか。専門家らは、異常気象への対応の難しさを指摘しながらも、「今後」に向けた治水対策の見直しの必要性を指摘している。

 

国土交通省は10月13日、堤防は延べ22河川で決壊し、142河川で浸水被害を確認した。長野市の千曲川は堤防決壊で住宅地を大規模な洪水が襲い、住民らが孤立した。千曲川はカーブが多い上に高低差も大きく、過去に何度も大規模な被害が出ている。

 

上流の山間部では、記録的な大雨も観測された。中央大の山田正教授(防災工学)は、こうした台風での山間部の「地形性降雨」が被害拡大を招いたとみている。「堤防の幅も狭く、勾配により水の勢いが強まったことで、あふれ出す結果となった」とする。

 

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また、新潟大の安田浩保准教授(河川工学)も「想定をはるかに超える極端な降水が同時多発的に起こることで、各地で洪水が起きた」とみている。

 

一方、国などによる治水対策が功を奏したとみられる地域もある。

 

多摩川は記録的な雨で水があふれたが、堤防の決壊などはみられなかった。山田教授は「堤防が強く、大災害にはならなかった」とする。

 

民主党政権時代に建設凍結問題で揺れた八ツ場(やんば)ダム(群馬県)。ダムの本格的な運用を前に今月から水をためてダムの安全性を確認する「試験湛水」を開始していたところだったが、本格運用を前に、台風19号で満水時に迫る雨をため込んだ。流域では洪水被害は確認されず、関係者は「雨水は全部ためた。効果があったということではないか」とみている。

 

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ただ、ダムや堤防の建設といったハード面には多額の費用もかかる。国は昨年の西日本豪雨を教訓に河川堤防の強化と避難促進のハードとソフトの両輪の対策を進めるが、特にハード面では費用対効果も加味される。

 

こうした中、今回は50年に1度と言われる大きな災害で、広範囲に洪水による被害をもたらした。安田准教授は「設備の能力が気候変動の現実にそぐわなくなっている。計画中の工事を一刻も早く完了させ、降雨や浸水の想定を改めて精査して対応すべきだ」と強調している。

 

 

「激甚化する災害に意識改革が必要だ」

 

東京大大学院の片田敏孝特任教授(災害社会工学)の話「一度に広範囲で猛烈な雨が降り続けたという点では、昨年の西日本豪雨と同じ。雨の降り方がこれまでと変わってきており、従来の想定でのまちづくりや都市構造では、激甚化する災害に対応できなくなってきている。今回、長野方面で河川の氾濫による大きな被害が出たが、台風では上陸前でも雨雲が広く分布し、大雨が降ることは珍しくない。鉄道の計画運休といった災害への事前対応を受容する社会の流れはできてきているが、災害の被害自体は、実際に起きてみないと読みきれない面もあり、政府や行政の対応にも限界がある。漠然とした不安を抱えていても、命は守れない。起きうる被害を具体的にイメージし、行動に移すことが大切。『最終的に身を守るのは自分自身』という国民一人一人の意識改革が必要だ」

 

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