鬼子母神前停留所付近から見た都電荒川線=東京都豊島区(三尾郁恵撮影)
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カンカンカンカン― 踏切といえば、警報機が鳴り遮断機が下りてくる様子をイメージするが、警報機も遮断機もない踏切もある。「第4種踏切道」と分類され、地方のローカル線などでたまに見かけることはあるが、調べてみると東京都内にもまだあるらしい。カメラを持って確かめに行った。
向かったのは都内に唯一残る路面電車、都電荒川線(東京さくらトラム)の沿線だ。荒川区の三ノ輪橋停留所から北区、豊島区をめぐり新宿区の早稲田停留所までつながっており、車と電車が併走する併用軌道区間や住宅密集地の中に延びる線路など、ノスタルジックな風景が残る。
JR大塚駅周辺は併用軌道区間
まず訪れたのはJR大塚駅周辺。ここでは都電の線路と道路や歩道が交差するポイントが多数あるが、警報機や遮断機は見当たらない。電車が来るたびに「ピンポーンピンポーン」とチャイムが鳴り、電車接近表示器が光る。歩行者らは左右を確認しながら線路を横切るという驚きの空間が広がっていた。

東京都交通局によると、大塚駅周辺の都電は道路内を走行する併用軌道区間とされ、線路は道路の一部として扱われている。このため線路と道路が交差するポイントは多数あるが、踏切道にはあたらないのだという。
JR大塚駅の外れに不思議な通路
JR大塚駅の外れで不思議な場所を見つけた。都電の線路を横切る幅約1メートルほど通路で、地面には「電車優先」の文字、電車接近表示器と「ピンポーン」のチャイムで電車接近を知らせている。
ここも併用軌道区間のため、踏切道ではないわけだが…本当に線路を渡っていいのだろうか? 初めて出会う光景に戸惑いながらしばらく観察していると、何人もの人が左右確認をしながら足早に線路を渡っていた。

続いて訪れたのは西巣鴨周辺、庚申塚停留所のすぐ近くの滝野川16号踏切だ。幅約2メートルの踏切道にU字型の車止め、警報機や遮断機はなく、あるのは「ふみきりちゅうい」の看板と「電車がきます」の文字が表示される電車接近表示器だ。都交通局によると、ここは第4種踏切道。渡った先には目の前には民家の玄関がある。ひときわ趣のある踏切だった。
閑静な住宅街に突如現れる 滝野川12号踏切
新庚申塚停留所すぐ横の滝野川12号踏切も第4種踏切道だ
庚申塚停留所の隣にある新庚申塚停留所のすぐ近くで、もう1カ所、第4種踏切道を見つけた。滝野川12号踏切だ。こちらも住宅街密集地を抜けるとたどり着く踏切道で、幅は4メートルほどと16号踏切よりは広いが、警報機も遮断機も電光掲示板もない。閑静な住宅街に突如現れる踏切なので、ぼんやり歩いていると踏切であることを忘れて渡ってしまいそうだった。
警報機はないが…信号機のある第4種踏切道も
都交通局によると、現在、都電荒川線にある第4種踏切道は17カ所。予想外の多さに驚いてしまった。ただ、警報器や遮断機はないものの交通信号機を備え、車や電車は信号に従って通行する第4種踏切道が10カ所あり、これらは安全性が確保されているとのことだ。
第4種らしい何もない踏切は、前述した滝野川12号と16号の2カ所で、残り5カ所は休止中だという。都としては滝野川12号、16号のような第4種踏切道はなくしていく方針だ。

都内では珍しいレトロな風景がなくなっていくことに少し寂しさも感じるが、安全のために最善の整備が求められている。
筆者:三尾郁恵(産経新聞)
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2026年7月26日産経ニュース【路上感撮】を転載しています
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