大正時代から続く東京都荒川区の銭湯「帝国湯」(酒巻俊介撮影)
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混迷が続くイラン情勢の影響は、町の銭湯にも及んでいる。湯沸かしに使われる重油の価格が急騰し、経営を逼迫(ひっぱく)させているためだ。これまでも全国の銭湯は毎年5%ペースで減少しており、利益の急減で苦境に陥っている。燃料費の高騰が続けば、廃業リスクはさらに高まりかねない。かつての「地域の社交場」が悲鳴を上げている。
2025年度は6割が業績悪化
「重油の価格が1.4倍から1.5倍になっている。銭湯が営業できる状態ではない」
全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会(全浴連)は9日、自民党の議員懇談会で、燃料費高騰により店舗の休業や営業時間の短縮が相次いでいる窮状を説明し、支援を求める要望書を提出した。

帝国データバンクが11日発表した「銭湯業界の動向調査」によると、2025年度の業績(速報値)は3月末時点で「悪化」が6割を超え、新型コロナウイルス禍以来の高水準となった。関連事業の売上高は27億円前後と、前年度の49億円から半減する見通し。なかでも「減益」に転じた企業の割合が上昇し、8年ぶりに3割台になった。経費の大部分を占めるボイラー用の重油価格の上昇ペースが売上高の伸びを上回っている。
10年後には1000軒割れも
かつて地域住民の交流の場でもあった銭湯は、家庭での風呂の普及や後継者難、施設の老朽化、スーパー銭湯の台頭などさまざまな要因で衰退の一途にある。
全浴連によれば、25年の銭湯の数はピーク時(1968年、1万7999軒)に比べ9割減の1562軒まで減少した。毎年約5%のペースで減少しており、10年後には1000軒を割り込む可能性がある。
銭湯の苦境には特有の業界事情も影響している。銭湯は公共性が高いとして公衆浴場法で「一般公衆浴場」に位置付けられ、各都道府県が入浴料金の上限額を指定する。大規模な設備や飲食施設を持つスーパー銭湯が「その他の公衆浴場」というくくりで自由に料金を設定ができるのとは異なり、銭湯は値上げの自由がない仕組みだ。
全浴連事務局は「燃料価格高騰が長引けば、業界の困窮が拡大しかねない」と危機感を訴えた。
筆者:千葉真(産経新聞)
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