日本ミステリー文学大賞を受賞した東野圭吾さん=2025年3月、東京都千代田区
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日本を代表するミステリー作家で、「容疑者Xの献身」などで知られる直木賞作家、東野圭吾さんが7月23日、大腸がんで死去したことが分かった。68歳。講談社が27日、発表した。
東野さんは1958年、大阪府生まれ。大阪府立大卒業後、エンジニアとして勤務しながら、1985年「放課後」で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。2006年「容疑者Xの献身」で第134回直木賞を受賞した。
2023年に第71回菊池寛賞、2024年に日本ミステリー文学大賞を受賞した。2023年、紫綬褒章を受章。また、2009年から2013年まで日本推理作家協会の理事長を務めた。
著作は共著を除き、105冊。現在の国内発行部数はおよそ1億900万部。著作は41の国と地域で出版されている。
担当編集者がXで哀悼
直木賞受賞作家の東野圭吾さん死去を受けて、出版社7社の担当編集者が運営する公式X(旧ツイッター)が27日、哀悼の意を表明した。8月5日刊行予定の最新刊「永遠の記憶」を含む106作品の表紙の画像を掲載した。

Xへの投稿があったのは27日午後4時10分。「皆様へ」と題し、「作家・東野圭吾さんが、7月23日未明、逝去されました。ここに、謹んで哀悼の意を表し、お知らせ申し上げます」と伝えた。
東野さんの著書について「1985年9月刊行のデビュー作『放課後』から、2026年8月5日刊行予定の最新刊『永遠の記憶』を含めて106冊(共著をのぞく)を数えます」と紹介し、あわせて「ありがとう東野圭吾さん106作品」と題して、東野さんの著作の表紙を並べた画像を掲載した。
「生み出された物語はたくさんの読者を魅了し続けることと思います。これからも、東野さんの小説をお楽しみください」と呼び掛けた。
「読書の落ちこぼれ」に捧げたエンタメ
「ひたすら娯楽性を求めて書き続けてきました」「読者を楽しませるものを書く、もっと読みたい、と思ってもらえる作家を目指す」。東野さんはかつて、自らの歩みをそう振り返っていた。デビューから40年余りで100作以上を世に送り出し、国内での電子版を除く部数は1億部を超える。当代きってのベストセラー作家を突き動かしたのは、エンターテインメントへの信念だった。
幼い頃は読書嫌いで、活字が大の苦手。国語の成績も悲惨だったという。作家として不利とも思える素養を強みに変え、数多くのファンを魅了する人気作家となった。「作品を書くときにイメージする読者は、あのころの自分。読書の落ちこぼれを拾っていきたい」と語っていた。

鮮やかなトリックや意外な動機、意表を突く犯人像など、常に読者を楽しませる趣向を凝らしてきた。その作風は、SFからサスペンス、パロディー、ブラックコメディーまで多彩だ。平成10年の「秘密」では、事故で娘の体に母親の魂が宿るファンタジーを取り入れ、話題を呼んだ。
天才物理学者が事件を解決する「探偵ガリレオ」シリーズなどの理系ミステリーでも知られる。作家を目指しながら過ごした約5年間のエンジニア経験が、リアリティーあふれる描写や科学技術を絡めた展開に生かされた。古典的な探偵小説の面白さを、理系の視点で洗練させ、現代的なエンターテインメントへ昇華させた。
加えて「白夜行」「容疑者Xの献身」のように、罪を犯した人間の境遇や心情を掘り下げ、濃密な人間ドラマを描き出すことにもたけていた。
中国メディアが速報
中国国営新華社通信など中国メディアは27日、東野圭吾さんが亡くなったことを速報した。東野さんは、中国でも多くの作品が翻訳され、人気作家として知られている。中国のSNSには多数の追悼メッセージが並んだ。
中国国営中央テレビ(電子版)は、「容疑者Xの献身」といった代表作を挙げ、「多数のベストセラー小説を執筆し、日本内外で広く人気がある」とした。
中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」には、東野さんについて「最も好きな日本の小説家だった」「高校時代の唯一の楽しみは東野さんの本を読むことだった」「東アジア文学界の損失だ」などと死を惜しむコメントが相次いだ。
東野さんによって生み出された物語は、これからも多くの読者を魅了し続けるだろう。
(産経新聞)
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