乳がんの手術で乳房を失う喪失感は人によるが、乳頭や乳輪まで含めた「再建の選択肢」を知っておくことは、いざというとき治療法を選ぶ助けとなる。乳がんの、治療と生活について考える。
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ブレストアートメイクの講習を受ける看護師(津川綾子撮影)

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乳がんになれば、手術で乳房を失うことがある。その喪失感は人によるが、乳頭や乳輪まで含めた「再建の選択肢」を知っておくことは、いざというとき冷静に納得のいく治療法を選ぶ助けとなる。女性の9人に1人がなるとされる乳がんの、治療と生活について考えます。

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「保険でできる」知らない人も

乳がん患者は、乳房の再建手術を保険適用で行える。しかし、厚生労働省のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)のオープンデータ(令和6年度分)を元に計算すると、乳房再建を行うのは全摘患者のおよそ8人に1人にとどまった。

乳房再建手術を手がけるがん研有明病院形成外科の矢野智之部長は、その理由をいくつか挙げる。

「まずは情報不足です。再建手術が保険適用と知らない人も意外と多い。乳がんになりやすい年代は、子育て中や働き盛りと重なり、治療に有給休暇を使ってしまうと、再建手術まで言い出せないこともある。治れば見た目はいいだろうと主治医に再建を相談しづらい場合もあるようです」と話す。

乳房再建は、がんで全摘した胸の位置に、おなかや背中、太ももの脂肪を移植する自家組織再建と、手術でゲル状の人工物(インプラント)に置き換える方法がある。ティッシュエキスパンダー(TE)と呼ばれる器具を胸の位置に挿入して皮膚を伸ばした後に再建に臨むこともあれば、全摘と同時に再建する場合もある。

乳頭と乳輪は日帰りで

全摘の多くは乳頭・乳輪の切除を伴い、再建は乳房とは別で行うことが多い。保険適用となる手術のほか、自由診療による医療用アートメークもある。

手術は2通り。いずれも部分麻酔・日帰りで可能だ。一つは、反対側の乳頭・乳輪を半分ほど移植する方法。形と色が左右でそろうが、「移植した皮膚がうまく生着せずに壊死(えし)するリスクがある」(矢野さん)。乳輪に太ももの皮膚を使う場合もある。

もう一つは、胸の皮膚にメスを入れ立体的に縫い合わせて乳頭のみを形成する皮弁法。ただし肌色のままで、別途、医療用のアートメークで着色する人もいる。

きれいに描くアートメークも

最近は医療用のアートメークが進化。乳頭・乳輪を立体的に描く「ブレストアートメイク」が普及し始めた。技術を学んだ看護師が医師の指示のもと施術。普及・教育に携わる団体「Re.ブレストアートメイクスクール寺子屋」代表で看護師の岩元淑子さんは、「胸の形が変わることに抵抗があり治療をためらう人もいる。胸を整える方法がいろいろあると知っておいてもらえたら、ためらわずに治療に臨めるかもしれない」と話す。日帰りの自由診療で1回およそ6万円程度。一般的に2~3回の施術が必要だ。

6月に京都で行われた日本乳癌学会学術総会で紹介すると、医師から「どこで受けられるかなど、プロトコル(手順書)を作ってほしい」と声をかけられたという。実施医療機関は、「Re.」のホームページに一覧がある。

>>Re.のホームページ

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2026年7月28日産経ニュース【知りたいがんのこと~がん電話相談】を転載しています

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