千葉県銚子市内を走る「銚子電鉄」の仲ノ町駅に猫駅長が就任した。銚電の魅力発信と癒やしに貢献している。
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お気に入りの本棚で過ごす猫駅長の「なかのさん(仮)」=5月23日、千葉県銚子市の銚子電鉄・仲ノ町駅(岡田浩明撮影)

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千葉県銚子市内を走るローカル鉄道「銚子電鉄」(銚電)の仲ノ町駅に猫駅長が5月に就任し、人気を集めている。その名は駅名にちなんだ「なかのさん(仮)」。生後11カ月(推定)の雌猫だ。駅構内の安全確認、列車の見送り、ファンとの交流…などをこなし、銚電の魅力発信と癒やしに貢献している。

まず「見習社員」から

23日正午すぎ、切符売り場を兼ねた仲ノ町駅の小さな待合室は「癒やしの空間」になっていた。駆けつけた十数人のファンの目当ては猫駅長。「ミャー」「ニャオー」と鳴くたびに、スマートフォンのシャッター音とともに「かわいい」といった声が漏れる。

差し入れは、おやつやぬいぐるみにとどまらない。写真集をプレゼントするファンもいるほどで、アイドル級の人気だ。

なかのさん(仮)が仲ノ町駅に姿を現したのは昨年10月14日。駅前の自動販売機近くにいたところを駅員に保護された。その後、銚子市の地域おこし協力隊の自宅で暮らすようになったが、銚電の竹本勝紀社長が猫好きということもあり、今年1月から「見習社員」として出勤するようになった。

ホームの様子をうかがう猫駅長の「なかのさん(仮)」=5月23日、千葉県銚子市の銚子電鉄・仲ノ町駅(岡田浩明撮影)

姉妹鉄道として連携する和歌山電鉄貴志川線・貴志駅(和歌山県紀の川市)の猫駅長が集客に一役買っている先例も後押しした。

異例のスピード出世

働きぶりが評価された、なかのさん(仮)は5月6日、猫駅長に昇進した。異例のスピード出世を果たし、週末を中心に出勤。1日2時間ほど働くが、待合室にある本棚の最上段、いわば〝猫駅長室〟から利用客を見守ることが多い。ここがお気に入りの場所らしく、待合室にある段ボールの専用社宅にはめったに寄りつかないという。

「電車の大きな音が怖いみたい。でも、おもてなしや癒やしという面でいえば、十分に働いてくれている」。猫駅長担当で普段は車掌の馬上レミさんは、猫駅長の仕事ぶりをこう評価し、「よく鳴いておしゃべりしているような様子がかわいい」という。

猫駅長による集客効果は抜群だ。馬上さんによると、銚電にはこれまで鉄道好きのファンが多かったが、「なかのさん(仮)がいるから訪れる人がかなり増えた」という。キーホルダーなど関連グッズの売れ行きも好調で、最近は焼き菓子の販売を始めた。

おやつをもらう猫駅長の「なかのさん(仮)」=5月23日、千葉県銚子市の銚子電鉄・仲ノ町駅(岡田浩明撮影)

「猫の力借りてでも…」

銚電はこれまで沿線住民の減少で、何度も廃線の危機に直面してきた。それでも「ぬれ煎餅」やスナック菓子の「まずい棒」など人気商品を考案し、鉄路を支えた。昨年は、沿線近くにある断崖絶壁の名所「屛風ケ浦」にちなんで銚電を「犬吠崖っぷちライン」と名付け、経営危機を逆手にとった得意の自虐ネタでPRするユニークな取り組みで話題を呼んだ。

もっとも、地方の人口減少には歯止めがかからず、銚電を含めたローカル鉄道の未来は決して明るくない。馬上さんは「なかのさん(仮)には社運がかかっている。猫の力を借りてでも崖っぷちから脱したい」と、猫駅長の手腕に期待する。

筆者:岡田浩明(産経新聞)

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