チェルノブイリ原子力発電所4号炉。表面は鉄板で覆われ「石棺」と呼ばれている
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チョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故から、4月26日で40年を迎えた。
旧ソ連の秘密主義が重なり、放射性物質は国境を越えて欧州各地を広く汚染した。
原発の過酷事故は一国の失敗にとどまらない。風を通じて周辺国を巻き込む国際災害である。
米国のスリーマイル島事故(1979年)、東京電力福島第1原発事故(2011年)と並び、1986年のチョルノービリ事故は、原子力発電に重い教訓を残した。
その教訓を今日の東アジアに引き寄せて考えるなら、最大の懸念は、中国で進む原発の急拡大である。
中国は運転中の原発58基を擁し、米国に次ぐ世界第2位の原発大国だ。建設中の原発も世界最多の30基以上に上るとされる。AI、半導体、データセンターの拡大に伴い、電力需要はさらに膨らむ。
石炭依存減を視野に、中国が原子力を増やす流れは理解できる。だが、規模の急拡大が安全文化の成熟を追い越すなら、危うさは一気に肥大する。
原発は建設して終わりではない。運転、保守、検査、緊急時対応を担う熟練の人材が不可欠だ。原発の急増に見合う技術者、規制官などを質量ともに確保できているのか。
米国、フランス、カナダ、旧ソ連由来の技術を含む多様な原発を、統一的な安全規格で管理可能か。疑問は絶えない。
さらに危惧されるのは、政治体制の問題である。原発に不具合が生じても、発電量や経済目標を優先して運転継続を求める圧力が働かないか。
重大事故の兆候を公表せず、鎮圧を優先して情報を遅らせる懸念はないか。チョルノービリの本質的教訓は、技術の失敗だけでなく、隠蔽(いんぺい)が被害を拡大するという点にある。
中国で放射性物質の大量放出事故が起きれば、偏西風の風下にある日本列島も無事では済まない。日本政府は中国に対し、事故情報の即時通報や周辺国との緊急時連絡体制の強化を恒常的に求め続けるべきだ。
同時に日本側も越境放射性物質監視網のさらなる充実が必要である。原発利用国に必要なのは事故を起こさない安全文化と事故時に隠さない透明性だ。
40年前の教訓を、東アジアで問い直す機会としたい。
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2026年4月26日付産経新聞【主張】を転載しています
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