尖閣諸島沖を航行する「海警1307」(第11管区海上保安本部提供)
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中国が、自国が目指す国際秩序に関する白書を発表した。
白書は、国際秩序が「深刻な打撃」を受けていると指摘した。一国主義や覇権主義が「公然と国際法と国際関係の規範を踏みにじっている」と危機感を示した。
その上で、中国は国連中心の多国間主義を実践して「断固として公平で正義の側に立つ」と表明した。
滑稽千万な記述である。中国政府は、言葉と行動が一致しなければ信頼を得られないことが分からないのだろう。
たとえば、南シナ海だ。その大半に中国の主権が及ばないとした2016年の仲裁裁判所の裁定は国連海洋法条約に基づくものだ。だが、中国政府はこの裁定を「紙くず」と言い放ち、岩礁を一方的に埋め立てて人工島とし、軍事拠点化を進めてきた。中国の海警局船などはフィリピンやベトナムなど沿岸国への圧迫を続けている。
日本固有の領土である尖閣諸島を中国領と強弁し、海警局船が日本の領海に侵入している。海上封鎖演習など台湾への軍事的圧力を強めている。
ロシアによるウクライナ侵略を中国は軍民両用品の輸出で支えている。北朝鮮の平壌で今月開かれた中朝首脳会談で、習近平中国国家主席は朝鮮半島の非核化の問題を無視した。
中国政府こそ国際秩序を毀損(きそん)する側にいる。今回の白書の文言は、中国の行動を自己批判しているのではないかとさえ思えてしまう。
王毅外相は白書公表の記者会見で、トランプ米政権を念頭に「強権やいじめに反対する」と語った。だが、レアアース(希土類)の輸出規制などで各国に経済的威圧を繰り返しているのは中国である。
白書は「少数の国が支配し、多くの国が従うような世界は良い世界ではない」と訴えた。日本や米欧が主導する国際秩序を否定したいのだろう。
さらに「軍国主義の復活」が世界の安全保障上の脅威となっていると主張した。防衛力の抜本強化を進める日本を念頭に置いた批判であれば、的外れもいいところだ。日本は中朝などの軍事的脅威を前にやむなく防衛努力をしているだけだ。
高市早苗政権は事実を捻(ね)じ曲げた中国の宣伝に対して的確な反論を続けてほしい。
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2026年6月23日付産経新聞【主張】を転載しています
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