ところどころに注意の看板が立つ砂浜道路「千里浜なぎさドライブウェイ」=石川県羽咋市
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2007年10月7日付の産経新聞に掲載した連載「探訪」のアーカイブ記事です。肩書、年齢、名称などは掲載当時のまま。
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心地よい潮風がわたり、潮騒が聞こえる波打ち際の砂浜を、観光バスやオートバイが水しぶきを上げて疾走する。浜茶屋からは「焼きはま」の香りが漂ってくる。
石川県宝達志水町(ほうだつしみずちょう)から羽咋市(はくいし)に至る約8キロの海岸を走る「千里浜(ちりはま)なぎさドライブウェイ」。ここは日本で唯一、自動車やバスが砂浜を自由に走ることができる“観光道路”として知られている。

道路といっても国道や県道など、道路法によって定義されているわけではない。ただの砂浜だ。当然ながら車線も信号もない。車体を揺らしながらの“波乗り走行”にバスの乗客からは大きな歓声があがる。スリル満点だが、横転したり、自重で沈み込んだりすることはない。


能登半島の西岸に位置する千里浜は、砂の粒が0.1~0.2ミリと非常に細かく、普通の砂浜の4分の1ほど。それに海水がしみこんで密度の高い、固い砂浜ができあがった。

維持管理の苦労を石川県羽咋土木事務所にたずねてみると、重機での路面整備は必要なく、ほとんど波まかせという。日本海が荒れる冬場を中心に年間20日ほどは通行止めとなるが、波が収まれば道路に戻る。
ハマグリを採っていた男性は、「昔はもっと砂浜が広くて、地区の運動会もやってましたよ」と話してくれた。全国的に問題となっている砂浜の後退は、ここも例外ではない。石川県河川課によると、砂浜は毎年1メートルほど浸食されていて、海面の上昇傾向とあわせ、道幅は狭まる一方だ。人工リーフの建設や、砂を運び込むことも検討されているが、同じ粒度の砂を集めるのは至難だ。

千里浜では太陽が水平線に沈む。浜茶屋の女性はハマグリを焼きながら、「真っ赤な夕日が、ホタテみたいなおいしそうな形で沈むんよ」。夕焼けに染まる砂浜のドライブウェイは、未来に残したい、とっておきの風景だ。


(産経新聞)
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