クールジャパン機構の累積損失が、令和7年度決算で540億円に膨らんだ。日本文化は幅広い分野で世界的に人気にもかかわらず、なぜこれほど巨額の損失が生じたのか。詳細な原因分析が必要だ。
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有識者会議の初会合であいさつする経産省の井上博雄商務・サービス審議官(中央)=7月29日午前、経産省

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アニメや食など日本文化は幅広い分野で世界的に人気だ。にもかかわらず、なぜこれほど巨額の損失が生じたのか。詳細な原因分析が必要だ。

日本文化の海外展開を後押しする官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」の累積損失が、令和7年度決算で540億円に膨らんだ。

官民ファンドは、各年度の累積損益が3回にわたり計画をクリアできないと、統廃合を検討する規定がある。同機構の計画未達は今回で3回目となる。所管する経済産業省は外部有識者を交えた検討会を設置し、年内をめどに方向性をまとめる。

同機構は安倍晋三元首相の肝いりで、平成25年11月に設立された。アジアを中心に日本企業の海外投資や事業展開を支援しており、投資額は令和7年度末で総額2040億円に及ぶ。

6年度に単年度で初めて黒字となったものの、7年度は再び赤字に陥り、計画よりも累損が膨らんだ。約140億円を出資したバイオ素材開発の新興企業スパイバー(山形県鶴岡市)が債務超過で私的整理に入ったことが痛手となった。

高市早苗政権は経済成長と経済安全保障を両立させる布石として、戦略17分野への官民投資額を22年度までに370兆円とする案をまとめた。17分野にはゲームやアニメなどのコンテンツ産業が含まれ、33兆7千億円の投資が想定されている。

この投資で同じ失敗を繰り返すことがあってはならない。そのためにも、政府は同機構が巨額の赤字に陥った責任を明確にするとともに、投資が実を結ばなかった理由を検証し、教訓としなければならない。

業績不振の官民ファンドは同機構だけではない。会計検査院によると、政府が出資する23の官民ファンドのうち、14ファンドが5年度末時点で累損を抱えていた。このうち、農林漁業成長産業化支援機構は経営改善が困難と判断され、今年3月末で解散した。

官民ファンドには政府がリスクマネーを出すことで、民間投資を促す呼び水とする役割がある。だが、相次ぐ不振は投資判断に甘さがあることを示していないか。同機構の統廃合を検討するにあたっては、官民ファンドのあり方を問い直す機会とすることが求められる。

2026年7月27日付産経新聞【主張】を転載しています

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