コア・コーポレートガバナンス研究機構が開いた公開フォーラム(加藤裕則氏提供)
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意思決定方法や規律など会社の仕組みを通じて企業価値の向上をめざすコア・コーポレートガバナンス研究機構(代表理事=佐々木清隆・元金融庁総合政策局長)が3月27日、東京・内幸町で公開フォーラムを開いた。テーマは「カンパニーセクレタリーはなぜ必要か」。カンパニーセクレタリーとは、取締役会事務局や取締役会室を指す言葉で、コーポレートセクレタリーとも呼ばれる。ガバナンスの専門家のパネリストからは、社外取締役を活用するため、カンパニーセクレタリーの重要さが強調されるともに、課題や問題の提起が相次いだ。カンパニーセクレタリーとは何なのか。本当に日本に浸透するのか。実現する手段は。専門家が本音で話し合った。
カンパニーセクレタリーはなぜ重要か
フォーラムの冒頭、あいさつに立った佐々木氏は、「稼ぐ力」を取り戻そうと政府や企業がこの10年間、ガバナンス改革に取り組んできた経緯を説明。だが、民間企業で不祥事が続く現状を示し、危機感をあらわにした。社外取締役など経営者を監督し、監査をする人たちが動かず、取締役会が機能していないケースが目立ち、「取締役会の実効性を上げるため、カンパニーセクレタリーを含めて取締役会のサポート機能をどのように重視していくのかが問われている」との認識を示した。
佐々木氏が司会を務め機関投資家や研究者など4人の専門家が参加したパネルディスカッションは盛り上がった。
コンサルティング会社ジェイ・ユーラス・アイアールの高山与志子副会長は十数年前、上場企業の社外取締役は数えるほどだったが、現在、東証のプライム市場では4分の1の会社で過半数と大きく伸び、「数年後には過半数が普通になる」と予想。その分、社外取締役による意思決定が重さを増す。当然、経営者を中心とした執行側との意思疎通が不可欠となり、「(カンパニーセクレタリーは)結節点という役割が要求される」と述べた。
「経営者から独立を」「ニデックショックで日本はよくなる」
ニッセイアセットマネジメントの井口譲二執行役員はカンパニーセクレタリーについて「経営者から独立するべきだ」と訴えた。その役割は重要で、経営者が嫌がるや、CEO(最高経営責任者)の解任議案にも関わることもあるという。同氏は「CEOに評価されることを喜びと感じる人にはできない」と述べ、日本企業に定着させるには、専門の職域として確立し、転職しやすいような社会制度も必要だと訴えた。

京都大学の上田亮子客員教授は、日本企業の取締役会事務局について、「スケジュール管理で終わっている」と指摘。担当役員を置いてガバナンスの議論をリードすることなど具体的な提案をした。
牛島信弁護士は、不正会計問題が企業社会に大きな衝撃を与えている「ニデックショック」に言及。強い危機感から「カンパニーセクレタリーの導入は一挙に一気に進むのでは」と語った。
ニデックの会計不正でも社外取締役に重要な情報は届くことはなかった。元官僚や学者、弁護士が務めているが、第三者委は「高い能力・識見を有するメンバー」としながらも、監査担当の社外取締役については「存在感は皆無に近い」とまで言い切った。
牛島氏は「社外取締役に責任はないのか。私は責任があるのかないのかを知りたい。司法がそれを問わなければならないのでは」と力説し、「ニデックのショックが日本をきっと良くする。コーポレート・ガバナンス改革の実が一気に上がると期待している」と述べ、会場の注目を浴びた。
ニデックの調報告書でも、取締役に提供する情報の質を上げる必要性がうたわれ、サポートするスタッフの拡充や、専門家の意見を聞くことのできる体制づくりを求めている。
企業の良心か
この日は基調講演も行われた。カンパニーセクレタリーなどガバナンスの専門職を育てるCGIのディレクター・ジェネラルのケリー・ワリング氏はカンパニーセクレタリーについて「ガバナンスの守護者。企業の良心という性質もある」と評した。中国やシンガポール、マレーシアでも義務付けられ、強い権限も与えられているという。
金融庁の新発田龍史審議官は、現在、行われているコーポレートガバナンス・コードの改訂作業の中でもカンパニーセクレタリーが位置づけられていることを解説した。経済産業省の鮫島大幸産業組織課長はカンパニーセクレタリーは法務、財務など多角的な人材を集めてチーム編成することが大事だと訴えた。
会の最後、牛島氏が後援した日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク理事長としてあいさつ。あらためてニデックの会計不正について「日本型ガバナンスの構造的弱点が露呈した」と指摘し、カンパニーセクレタリーの必要性を強調。「きょうは日本のガバナンスをつくるための一里塚になる」と佐々木氏に奮起を促してフォーラムを締めくくった。
著者:加藤裕則(経済ジャーナリスト)
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