政府は首都直下地震に備える緊急対策推進基本計画の改定を閣議決定した。新たな減災目標の達成に向け対策を加速させなくてはならない。
C3IDWYPGGJJMJJ4L6EATB7DPBU

東京都港区のタワーマンション群=2025年2月

This post is also available in: English

政府は首都直下地震に備える緊急対策推進基本計画の改定を閣議決定した。新たな減災目標の達成に向け対策を加速させなくてはならない。

首都直下地震は最大で死者約1万8千人、全壊・焼失建物は約40万棟の甚大な被害が想定されている。これを今後10年間でいずれも半数以下に減らす目標を明記した。

従来の基本計画は10年間でおおむね半減を目指したが、実際は2~3割の減少にとどまった。建物の耐震化や防火対策が十分に進まなかったためだ。

首都直下地震は今後30年以内に70%程度の高い確率で発生が予測されており、これ以上の減災の遅れは許されない。

国はこれまでの反省から対策の数値目標を大幅に増やしたほか、進捗(しんちょく)状況や課題を毎年確認する新たな体制を敷く。対策の実効性を高め、確実に目標を達成できるよう責任をもって取り組んでもらいたい。

年内の設置が予定される防災庁は新計画の確実な実行が求められる。各省庁に対し改善を求める勧告権が与えられ、対策が遅れている省庁には強い指示が可能になる。防災の司令塔として真価が問われよう。

想定する死者と建物被害の約7割は火災が原因だ。阪神大震災や東日本大震災では電気系統に起因する火災が多発した。そこで強い揺れを感知すると電気を遮断し、電気器具の転倒や停電復旧時の出火を防ぐ感震ブレーカーの普及に力を入れる。

令和6年度の設置率は20%だが、おおむね設置の水準まで引き上げるとした。機能や価格はさまざまなタイプがあり、ホームセンターなどで購入できる。自分の命は自ら守る意識をしっかり持ち、各家庭で早期の設置を考えたい。

国は普及を急ぐため、延焼の危険性が高い地域などで購入費の補助を拡充すべきである。販売店は売り場の拡大など認知度向上に取り組んでほしい。

SNSを使った災害時のデマが問題化していることを受け、デマを打ち消す情報を国が発信すると新たに盛り込んだことは評価できる。十分に目配りをしてもらいたい。

人口や多くの企業、行政機能が集中する首都圏での被害は、全国の社会経済に大きな影響が及ぶ。東京への一極集中の是正も真剣に検討すべきである。

2026年6月22日付産経新聞【主張】を転載しています

This post is also available in: English

コメントを残す