太平洋クロマグロの資源管理を協議する国際会議が長崎市で開かれた。日本は来年から大型魚の漁獲枠を25%増やす一方、小型魚の枠は6%減らすことを提案していたが、合意には至らなかった。
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(Courtesy of the US National Oceanic and Atmospheric Administration)

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太平洋クロマグロの資源管理を協議する国際会議が長崎市で開かれた。

日本は来年から30キロ以上の大型魚の漁獲枠を25%増やす一方、資源維持のため小型魚の枠は6%減らすことを提案していた。適切な管理案だが、会議終盤でメキシコが突如反対し、合意には至らなかった。

トロの値下がりなどを期待していた向きもあるだろう。残念な展開である。日本政府には、早期の協議再開を関係国・地域に働きかけてもらいたい。

長崎市で開かれた太平洋クロマグロの資源管理を議論する国際会議

クロマグロの資源量は乱獲で減少した。2018年には1995年以降で最少の漁獲量になったが、日本や関係国・地域が漁獲規制に取り組んだ結果、資源は回復に転じている。

その効果であろう。日本の沿岸では定置網にクロマグロが大量に入るようになっている。だが、漁獲枠が設定されているので、その上限を超えないよう、各地でクロマグロを逃したり、操業をやめたりする事態が起きている。

資源回復に貢献した漁業者が漁を制限されるのは不合理だ。クロマグロだけでなく他の魚まで網から海に戻すことになり、沿岸漁業の経営を圧迫する。

資源を利用することと、守ることは両立可能だ。科学的な資源評価に基づき、持続可能性を損なわない範囲でクロマグロの漁獲枠を見直すのが資源管理の本来の姿である。

太平洋を広く回遊するクロマグロは日本、米国、メキシコ、韓国、台湾など多くの国・地域で漁獲される。それ故、駆け引きや既得権益ではなく、共通のデータと透明なルールで漁獲枠を決めることが重要だ。

同時に日本の食卓も見直したい。日本人の魚への嗜好(しこう)はマグロやサケ、ウナギなど一部の人気魚種に集中しがちだ。日本周辺では暖流と寒流が交わり、多様な魚介類に恵まれている。それなのに、知名度が低い、調理に手間がかかる、漁獲量がまとまらないといった理由で、十分に利用されない魚種も多い。

資源量が回復したクロマグロは適切に利用すべきだ。一方で旬の地魚などにも目を向けて消費の多様化を図りたい。

豊かな海の恵みを無駄なく食卓に生かすことが、闊達(かったつ)な漁業と魚食文化をともに持続させる道だ。「太平洋クロマグロ」にその先導役を期待する。

2026年7月21日付産経新聞【主張】を転載しています

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