橋が湖面に反射し、円形に見えることから「めがね橋」とも呼ばれるタウシュベツ川橋梁=6月12日、北海道上士幌町(鴨志田拓海撮影)
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木々が茂る林道の先にたたずむアーチ橋。鉄筋がむき出しになり雑草が生えた橋はゆっくりと時間をかけて自然に返りつつある。
秋には湖底に
北海道十勝地方の上士幌町にあるタウシュベツ川橋梁(きょうりょう)は、ダム湖の水位変動によって、6月頃から10月頃にかけては湖底に沈み、その姿が見え隠れすることから「幻の橋」とも呼ばれている。老朽化も進んでいて、いつアーチが連なる状態が見られなくなってもおかしくない状況だ。
JRポスターで脚光
この橋梁は旧国鉄士幌線の開業に伴い、昭和12年に完成した。橋の全長は130メートル。高さ約10メートルのコンクリート製。アーチが11連なり、景観をつくる。昭和30年に役目を終えたが、平成13年に「北海道遺産」に選定され、その後JRグループの宣伝ポスターに採用されたことで、広く知られるようになった。

「橋が崩れるまで撮り続けたい」
こう語るのは、音更町在住で写真家の岩崎量示さん(47)だ。平成17年から橋梁を撮り続けている。岩崎さんは「橋の材料の石やコンクリートの砂利は現地のものが使われている。石や砂利が橋となり、時間をかけ、再び自然に返るのも魅力です」と語る。
自然災害も崩落の原因の一つ。平成15年の十勝沖地震では側壁の一部が崩れ、今年4月に発生した地震でも一部が崩落した。皮肉にも崩落が進むたび、その姿を一目見ようと、早朝から多くの観光客でにぎわう。

ツアーガイドを務めるNPO法人ひがし大雪自然ガイドセンターの河田充代表理事(66)は「気温の上昇や雨量の増加など、橋を取り巻く環境はこの十年で大きく変わった」と話す。

近年では熊の出没情報も増え、観光協会などでは注意を促しているという。岡山県倉敷市から夫婦で訪れた、木下直喜さん(55)は「国内にこんな場所があるとは知らなかった。雄大な景色に感動した」と口にした。
本来の役割を失ってもなお、人々を魅了し続けるタウシュベツ川橋梁。壊れゆくものにこそ、美しさを見いだす。その感性と美意識は、日本人ならではのものかもしれない。
筆者:鴨志田拓海(産経新聞写真報道局)
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2026年7月14日産経ニュース【探訪 ~Scenes~】を転載しています
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