池袋小の入学式で歌う2年生児童。お祝いの言葉、器楽合奏で1年生を歓迎した=4月8日午後、東京都豊島区(市野澤光撮影)
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東京・池袋駅に近い豊島区立池袋小では、外国にルーツをもつ児童が全校のおよそ3割を占める。こういった環境の中、同校は日本語学級や国際理解週間など特色ある取り組みを進めてきた。出入国在留管理庁によると昨年末時点の在留外国人は、前年末比9・5%増の412万人で初めて400万人を超えるなど、外国人が増加の一途をたどる中で、今後の教育における一つの指針となりそうだ。
日本語で祝辞
「ご入学おめでとうございます」
桜の花びらが舞う8日午後、過ごしやすい春の陽気の中、体育館で入学式が行われた。保護者、来賓、教員に囲まれた新1年生が体育館中央に座り、その正面に設置された階段状の台に整列した新2年生36人が、祝いの言葉を贈る。
「皆さんが入学するのを楽しみにして待っていました!」「今皆さんはどんな気持ちですか?」
暗記したせりふを次々と話す彼らのうち9人は、外国にルーツを持ち、日本語を学ぶクラスに通っている。それをじっと聞いていた新1年生の中にも、米国やイタリア、ネパールなどから来た児童たちがいる。同校の山口正男校長は「多文化共生が日常的にできる学校」とあいさつの中で紹介した。
池袋小は平成17年に旧大明小と旧池袋第五小が統合して開校し、今年で創立22年目。外国人が多く住む池袋駅北西の繁華街も含む広い学区を持つ、日本で有数の外国ルーツの児童が多い学校だ。中国人児童が外国人の大半を占める時期もあったが、近年はネパールや米国、スウェーデンなど多様な国の児童が在籍するようになった。
教育目標の一つとして「多文化を尊重し、人を大切にする児童の育成」を掲げ、約3割を占める国籍やルーツの違う子供たちが隔てなく過ごせるよう独自の取り組みを行っている。
50時間かけ国語を
同校の大きな特色が、教育言語としての日本語を学ぶ「日本語学級」だ。
学習初期の指導では50時間ほどかけ、主に国語の授業の時間に通常のクラスと離れて、日本語の文法などの基礎を学ぶ。その後は1年生の教科書から内容をピックアップして学習し、児童本人の学年の指導に追いつくことを目指す。習得度によって最大4年間在籍できる。

また高学年では内容が専門的になることから、国語以外の教科でも、事前に難しい用語を、簡単な日本語で説明して、意味の理解を図るなどの支援も行う。現在計6人の教員が、50人ほどの児童を日々担当している。
昨年度まで日本語学級の主任を務めていた保井久仁子講師は「日本の学校が楽しいと思ってもらうことが大切。ただ『提出物の期限は必ず守る』などのルールをしっかり教えることも将来のためになる」と話す。
全校的に行われる「国際理解週間」も、同校のこうした文化を象徴している。国際理解週間は年に3回、1週間かけて開催されるイベント。日本語学級に在籍する児童が、自らの母国について説明したり、民族衣装を着て踊りを披露したりする「国際理解フェスティバル」が目玉だ。休み時間には体育館で各国の遊びを楽しめるが、児童が殺到するため、学年ごとに制限するほどの人気ぶりだという。
また期間中は、栄養士の協力により、給食として各国の郷土料理がふるまわれる。同校の梅津恵美子副校長は「自分の国の料理が出ると、児童は『本物はもっと辛いよ』などと言いながら喜んで食べる。その光景がうれしい」と目を細めて語る。
一方で日本の伝統文化を学ぶ機会も多くあり、児童は琴や三味線、華道、狂言などを体験する。記者が見せてもらった動画では、中国やネパールの児童が琴で古謡曲「さくらさくら」を演奏していた。
モデルケースに
国内の在留外国人数が年々増加の一途をたどる中、山口校長は「うちが一番先陣を切っている。この実践を今度は他の学校が使えるように伝えていかなければならない」と話す。梅津副校長は「外国籍の子も、日本で幸せにまっすぐ育っていってほしい」。
これからの教育のモデルケースとなる同校の取り組みは続く。
筆者:市野澤光(産経新聞)
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