This post is also available in:
日本の若者の声を世界に発信する「Ignite」の第48回は、東日本大震災をきっかけに誕生した日米の若者のリーダーを育成する日米の官民パートナーシップ「TOMODACHIイニシアチブ」の同窓生で名古屋大学大学院博士前期課程1年(当時)、山田萌恵子さんが3月14と15の2日間わたって開催された能登半島沖地震の被災地視察プログラムの運営に関わり、現地のリーダーらと交流した中で感じたエッセイ「石川出身アラムナイとして」を紹介する。

◇
石川出身アラムナイとして
私は、運営メンバーとして、そして石川県出身者として、能登半島被災地訪問に参加した。構想から数えると約1年半かけて実現することができた能登訪問を振り返る。
TOMODACHIとのつながり
TOMODACHIとのつながりのきっかけは、2022年TOMODACHI住友商事奨学金プログラムへの参加である。学部2年でアメリカ・南イリノイ大学カーボンデール校へ交換留学し、1年間にわたり本プログラムからの奨学金支援を受けた。参加理由は、将来の夢を叶えるために必要だと思ったからである。「高校の英語教員になり、英語の必要性とともに楽しさを伝える」、「教育を通して日米の架け橋になりたい」という夢を抱き続けている。留学期間中に行われるNY研修では、実際にグローバルリーダーとして活躍している企業や人々に直接会うことができた。同期やアラムナイとの交流、メンター制度も充実しており刺激を受け、自分が成長する絶好の機会だった。プログラム終了後の現在、TOMODACHI地域フレームワーク中部北陸地域のコア委員として活動している。主に中部北陸地域のアラムナイ向けにイベントを企画しており、その一環として今回の能登訪問を企画した。

石川県出身アラムナイとしての能登半島被災地訪問
私自身、石川県内灘町出身であり、被災者でもある。TOMODACHIアラムナイに地元のことをもっと知ってもらいたい、地元に貢献したいという思いで、今回の能登訪問を企画した。2024年1月1日の地震発生当時、私は石川県に帰省していた。あの時感じた揺れの大きさと恐怖は一生忘れることがないだろう。幸い、自宅は被害をそれほど受けなかったが、ガタガタになった通学路や大きく傾いている親戚宅を見て、衝撃だった。

能登、特に和倉温泉(石川県七尾市)には家族旅行や友人との旅行でよく訪れていた。高校卒業のタイミングには、仲の良かった友人4人と一泊した。震災発生以降、訪れていなかったので、今回訪問することができる良い機会だった。
和倉温泉復興ツアーでの学び
特に印象に残った「和倉温泉復興ツアー」について振り返る。震度6強を観測した和倉温泉旅館の被害状況や発生当時のお客様への対応について、ガイドの橋元さんの説明を聞きながら、被災地・和倉温泉街を見学した。
旅館の建物の変わり果てた姿に驚きとショックを受けた。私の知っている震災前の和倉温泉はそこにはなかった。震災から約2年がたったにもかかわらず、建物や道はまだ完全には修繕されていない。特に、私が高校の卒業旅行で泊った旅館「虹と海」の建物は骨組みだけが残っていて、反対側にある海を建物越しに見ることができるくらい変わり果てていた。和倉温泉のシンボルともいえる旅館「加賀屋」が4月から公費解体されると聞き、地元の人々や従業員の方々の悲しみは計り知れないと思うと同時に、これが前に進むきっかけになればいいなと思った。

私の地元内灘町も、一般住宅の公費解体が進んでおり、それを機に人々がやっと前を向いて動き出したように感じている。何かしら行動を起こさないと新しい生活は始まらないと分かっていながらも、なかなか前に進めない人が多くいる状況で、人々の心と足並みをそろえながら解体・修繕工事を行う必要があると感じた。
普段は立ち入ることのできない、海沿いの護岸工事の様子も見せてもらった。工事の際には、人工岩でなく天然の岩を使用し、そのまま海に還すことのできるようにしているそうだ。単に海沿いを強化することを目的とした工事ではなく、未来につながる復興が行われていると知り、こうして和倉温泉の人々の持続的な暮らしが守られるのだなと思った。
私たちのような若い世代が、被災地に出向くことの重要性も感じた。ガイドの橋元さんは私達に会った瞬間、「こんなに若い人が来てくれたんやねー。本当に来てくれるだけで嬉しい。遠くからわざわざありがとう」と言ってくださった。こちらが感謝する側なのに、逆に感謝されたことにとても驚いた。同時に、若い世代が能登を訪問し学ぼうとするだけでも、喜んでくれることを知り、とてもうれしくしなった。能登は高齢化が一段と進んでおり、輪島や珠洲では学校の統廃合の話もあがっていると聞く。そのような状況だからこそ、私たちができることは何かを考え、実際に足を運びたいと思った。
最後に
石川県出身者として、自身の体験とともに、能登のことを知ってもらう活動はとても意味のあるものなのだと実感することができた。このような被災地訪問を1回きりで終わらせるのではなく、定期的に開催する必要があると考える。今回は観光地での被災を学んだが、さらに珠洲や輪島に出向き、農業地域・過疎地域での被災について学びたい。運営側として、今回のイベントの成功を喜ぶとともに、次回以降の企画にアイデアが膨らんでくる。
筆者:山田萌恵子(やまだ・もえこ)
石川県内灘町出身
TOMODACHI地域フレームワーク中部北陸地域コア委員
名古屋大学大学院博士前期課程1年(当時)
2022年TOMODACHI住友商事奨学金プログラムへの参加
This post is also available in:

