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日本の若者の声を世界に発信する「Ignite」の第43回は、東日本大震災をきっかけに誕生した日米の若者のリーダーを育成する日米の官民パートナーシップ「TOMODACHIイニシアチブ」の同窓生、N高等学校3年(当時)、奥平陽妃さんが3月14と15の2日間、能登半島沖地震の被災地を視察し、復興に携わる現地のリーダーらと交流した中で感じた思いを綴ったエッセイ「震災復興 当事者の声を聞くなかでわかること」を紹介する。

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震災復興 当事者の声を聞くなかでわかること
「重機を使って速く復興するのではなく、あえて人の手でゆっくり復興したかった」「復興とは元の形に戻すことではない」―。
1日目のトークセッションのこの言葉が特に強く心に残っている。復興とは、建物を元に戻すだけではなく、その土地に生きる人々の思い、歴史、つながりを未来へどうつないでいくかということだ。
私が、能登半島のプロジェクトに参加したのは、2025年の大阪・関西万博で働き、能登半島や輪島塗を含めた地域文化を紹介するパビリオンに触れたことがきっかけだ。能登という土地に強い関心を持つようになった。
能登を訪れて最も強く感じたのは、「現地に行き、当事者の声を聞くこと」の重要性だった。地震発生から数か月後、SNSでは「何も復興していない」「政府は何をしているのか」といった声を多く目にし、私自身も同じように感じていた。しかし現地で、その見方だけではとらえきれない現実があることを知った。

2日目に訪れた和倉温泉でも、現地に足を運んだからこそ分かる現実に大きな衝撃を受けた。海岸沿いの旅館やホテルが、そのままの姿で残されている。復興の難しさを改めて感じた。しかし、土地の権利の問題や、それぞれの旅館・ホテルが長い年月をかけて築いてきた歴史や思いがあり、一概に「早く建て直せばよい」というものではないことも知った。
私たちに何ができるのだろうと考えた時、大切なのは、実際に訪れ、現状を知ることだと強く感じた。壊れたままの道、時間が止まったように残された旅館。その現実を自分の目で見て、感じて、そして周りに伝えることも一つの支援になるのではないかと思った。
温泉街の店はどこも本当に美味しい。特に、能登アイスの棒茶アイスがとても印象に残った。当初、能登の特産の茶を使ったアイスと純粋に美味しさに感動したのだが、後から棒茶は、本来捨てられるはずだった茎の部分を活かして作られたと知り、その背景に能登らしい知恵と温かさを感じた。使われないものに新しい価値を生み出す考え方は、震災後の地域の再生にもどこか通じるものがあるように思った。

この経験を通し、私は今自分が向き合いたいと考えているLGBTQ+の課題とも深くつながっていると感じた。きっかけの一つとなったのは、TOMODACHI イニシアチブ・MUFG Sustainable Entrepreneurship Programに参加した米国・サンフランシスコで初めて、同性カップルとして結婚した方々の話を聞いたことだ。実際に話を聞かなければわからないことがある。
能登でも、外から見えるだけでは決して分からない、その土地で暮らしてきた人たち一人ひとりの思いや背景があることを学ぶことができた。復興もまた、周囲が「こうあるべき」と決めるのではなく、そこで生きる人たちの声を丁寧に聞きながら進めていくことが大切なのだと感じた。
私は以前からジェンダーや多様性について学び、私自身も当事者として、社会の中で生きづらさを感じることがある。だからこそ、能登で学んだ「まず相手の声を聞く」という姿勢は、LGBTQ+の課題にもそのまま通じると感じた。外からの一方的な見方や表面的な議論ではなく、実際にその立場で生きる人が何を感じ、何を必要としているのかを知ることが、本当に安心して暮らせる社会につながるのだと思う。
私は5月から、ワーキングホリデーでオーストラリア・シドニーに行く。そこでも多様な文化や価値観、人々の暮らしに実際に触れ、学びを深めていきたい。日本の外で見えてくる社会のあり方や、多様性への向き合い方を学び、将来、日本で生かしていきたい。
今回の能登プロジェクトは、単なる訪問や学びの場ではなく、私自身のこれからの生き方と目指したい社会を、より明確にしてくれた貴重な経験だった。TOMODACHIイニシアチブで出会った方々の温かさ、そして能登で出会った方々の力強い言葉を胸に、これからもより良い社会のために行動し続けたい。

筆者:奥平陽妃 (おくだいら・はるひ)
大阪府高槻市出身
N高等学校(3月に卒業)、オーストラリアでワーキングホリデー中。
2025年の1月から3月までの2ヶ月間フィリピンに語学留学。
高校生を対象にしたMUFG Sustainable Entrepreneurship Programで、3か月間の事前研修を経て、10日間、サンフランシスコで研修。
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