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脳の状態を可視化しながらイメージトレーニング(イメトレ)をするだけで、実際には全く体を動かさずに運動能力を向上することに成功したとして、慶応大の研究チームが4月、米科学アカデミー紀要で発表した。全身の筋肉をつかさどる脳そのものを直接鍛える新たな手法で、運動する場所や道具がなくても可能なトレーニングの実現につながると期待される。
脳卒中リハビリで実用化
今回の研究の鍵を握るのは、自分の脳活動をリアルタイムで把握し、それを制御する訓練を行う「ニューロフィードバック」という手法だ。被験者の脳波や血流など脳の活動状態をリアルタイムで計測・分析し、映像や外部機器の動きなどに変換して被験者にフィードバック(提示)する。
頭の中で動きを思い描くだけのイメトレとは異なり、脳の状態を客観的にとらえながら、自分の脳を調節する練習をする。
慶応大の研究チームはこれまでに、脳卒中で体にまひが残る患者のリハビリにニューロフィードバックを活用する研究を進め、専用の医療機器を大学発スタートアップを通じて実用化。すでに全国で数十の医療機関で導入されている。
今回の研究では、無くなった運動機能を再獲得するリハビリと異なり、もともと持っている運動機能をさらに高めることにニューロフィードバックを活用できるかを探った。健常な成人において、脳の状態の切り替えを制御する訓練を行い、運動能力が向上したことが示された。
ゲームや楽器演奏に応用も
実験では、被験者の頭皮上に設置した電極を用いて脳の微弱な電気信号を計測する。着目したのは、「感覚運動リズム」と呼ばれる、運動野の近くで計測される脳波だ。安静時にはこの脳波の振幅が大きくなり、逆に運動を実行するときには振幅が小さくなる。
筆者:松田麻希(産経新聞)
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2026年5月16日産経ニュース【びっくりサイエンス】より
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