オランダを訪問中の天皇、皇后両陛下が戦没者記念碑で黙禱をささげられた。旧日本軍による捕虜問題で、良好とはいえない時期もあった日蘭両国の関係が好転する一助となったのが、歴史に真摯に向き合われた上皇さまだった。
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戦没者記念碑に供花し、黙禱をささげられる天皇、皇后両陛下=6月17日午前、アムステルダム(代表撮影)

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オランダを訪問中の天皇、皇后両陛下が6月17日、戦没者記念碑で黙禱(もくとう)をささげられた。旧日本軍による捕虜問題で、良好とはいえない時期もあった日蘭両国の関係が好転する一助となったのが、歴史に真摯(しんし)に向き合われた上皇さまだった。オランダで抑留経験者らと交流する日本人女性は歴史の継承に期待を寄せる。

ダム広場で行われた歓迎式典で日本人学校の生徒と写真撮影に臨まれた天皇、皇后両陛下とウィレム・アレクサンダー国王、マキシマ王妃=6月17日午前、オランダ・アムステルダム(酒井真大撮影)

「お立ち寄り」となった昭和天皇

旧日本軍は先の大戦で、オランダ領東インド(現インドネシア)で捕虜約4万人、民間人約9万人を収容所に抑留し、多くの死者を出した。

昭和天皇は昭和46年の欧州歴訪で、オランダには国賓として訪問できず、「お立ち寄り」という形となった。現地では昭和天皇の車列に魔法瓶が投げつけられた。その後、昭和天皇の大喪の礼にはオランダ王室からの参列はなかった。

平成に入り、日蘭両国は和解へのプロセスを歩み始める。平成2年の即位の礼には当時皇太子だったウィレム・アレクサンダー国王が参列した。

12年には在位中の上皇さまと上皇后さまが国賓として訪蘭し、戦没者記念碑にご供花。晩餐(ばんさん)会の答辞で上皇さまは「今なお戦争の傷を負い続けている人々のあることに、深い心の痛みを覚えます」と述べられた。

千葉大の水島治郎教授(オランダ政治)は「1990年代まで、オランダ国内では日本への厳しい意見が多かった。上皇さまのご発言で日本として誠意を示したということが伝わり、ポジティブに報道された」と話す。

「歴史は平和のために学ぶもの」日本人女性の思い

一方、戦後80年以上が経過し、オランダでは抑留経験者が少なくなっている。「この歴史を伝えていくことが重要」と「日蘭イ対話の会」の名誉会員であるタンゲナ鈴木由香里さん(75)は語る。

日蘭イ対話の会の活動に参加するタンゲナ鈴木由香里さん=令和元年7月、オランダ・ハーグ(日蘭イ対話の会提供)

日蘭交流400年にあたる12年、抑留経験者と在留邦人が対話する機会を設けたことをきっかけに、同会の活動が始まった。タンゲナ鈴木さんは「収容所でお子さんを亡くされた方の話を聞いたときは抱き合って涙を流した。日本人である私たちが話を聞くことが、抑留経験者にはすごく重要だった」と振り返る。

近年では教科書の副読本や配信などを制作。「歴史は平和をつくるために学ぶもの。今回の両陛下のご訪問が、当時を知らない世代が学ぶきっかけになれば」とタンゲナ鈴木さんは期待を込めた。

筆者:吉沢智美(産経新聞)

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