大阪市西成区を歩く観光客ら。区内には特区民泊が乱立しているエリアもある
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観光産業の拡大は日本経済の発展にも重要だ。だが、生活を豊かにするための施策が住民の生活環境を脅かすのでは本末転倒だ。
訪日客の受け皿としても期待される民泊について、観光庁は住宅地の居住環境が損なわれる場合、自治体が条例でその地域での営業を実質的に禁止することを認める。近く自治体に通知する。
民泊では宿泊客による騒音やごみ捨てなどを巡り、地域住民とのトラブルが全国で増加している。民泊の設置数が東京都内で最多の新宿区では、令和3年度に70件だった騒音やごみ捨てなどの苦情が7年度には924件に急増した。
オーバーツーリズム(観光公害)の解消が課題となる中で、住民の生活環境を守るために、自治体による営業規制を強化することはやむを得ない。
民泊は、旅行者らの宿泊先として戸建て住宅やマンションの空き部屋を有料で提供する。住宅地では平成30年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行で、年間180日を上限に解禁された。
自治体はこれまでも条例で営業日数を制限できた。ただし、上限を「0日」に設定して実質的に営業を禁止することについては、民泊を振興する法の目的を逸脱するとして、政府は「適切ではない」との見解を示していた。トラブル多発を踏まえ、「0日規制」を認めることにした。騒音計や出入り口のカメラ設置を事業者に義務づけることも可能とする。
民泊には、国家戦略特別区域法に基づく「特区民泊」もあり、通年営業が可能だ。だが、全国の特区民泊施設の9割が集中する大阪市は周辺住民から騒音などの苦情が続出し、5月29日で新規申請の受理を停止した。東京都大田区は認定基準を厳格化した。
地域住民の理解を得られなければ、いずれ民泊は立ち行かなくなりかねない。そのことを事業者は強く認識すべきだ。宿泊者にルールの順守を求めるのはもちろん、事業者として営業期間や管理者の常駐など自治体の求めに応じることも当然だ。
自治体からは民泊新法を改正し、営業できる地域や期間を法で規制することを求める声も出ている。民泊を迷惑施設としないために、政府は抜本的な制度見直しを急ぐ必要がある。
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2026年7月4日付産経新聞【主張】を転載しています
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