全日本柔道選手権決勝で村尾三四郎(左)を攻める田嶋剛希。優勢勝ちで初優勝を果たした=日本武道館
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去る4月26日、体重無差別で日本一を争う天皇杯全日本柔道選手権が今年も東京・北の丸の日本武道館で開催されました。日本柔道界では、五輪、世界選手権と並ぶ位置づけで、この3大会で優勝することは“柔道三冠”とされています。今年は全国の予選を勝ち上がった40名と推薦選手5名、あわせて45名が出場して熱戦が繰り広げられ、天皇杯の名にふさわしい素晴らしい大会となりました。
決勝は、ともに90kg級の田嶋剛希選手と村尾三四郎選手が対戦し、田嶋選手が試合終了11秒前に「技あり」を奪って劇的な勝利を収め、初優勝に輝きました。両者は10月の9世界選手権90kg級代表であり、ともに同大会の優勝経験があるライバル(田嶋は2024年、村尾は昨年優勝)。2028年ロサンゼルス五輪に向け、高いレベルでしのぎを削りながら、成長を続けています。
試合は、そうした関係性から生まれる緊張感のなか、スピード感と重量感を兼ね備えた90kg級ならではの試合となり、両者の柔道の魅力が凝縮された一戦となったと感じました。

一方で、体重無差別の大会であることから、100kg超級の選手の活躍が少なく、もの足りなさを感じたという方もいたようです。しかしながら、私としてはそれ以上に、田嶋選手、村尾選手、そして5位に入った小畑大樹選手の90kg級の3選手が上位争いを演じたことによって大会に新鮮な風が吹き、全日本選手権の魅力そのものが増したのではないかと感じました。
また、大学生で唯一ベスト8に残り、3位に入った100kg級の新井道大選手も、初戦から業師と言える相手や体重差のある選手と見応えのある攻防を繰り広げ、体重別の試合とは異なる面白さを見せてくれたのも、今後への期待も含め、明るい材料だったのではないかと感じました。

ひとつ一つの試合にドラマがある、唯一無二の大会
全日本柔道選手権は、体重無差別であるがゆえにひとつ一つの試合にドラマがあり、見る者を引きつけてやみません。世界は体重別による試合が主流であることを考えると、全日本選手権は無差別で始まった柔道の伝統と魅力を伝えるという意味において非常に価値があり、大会としてもポテンシャルの塊であると思います。
近年では海外からの観客も増加傾向にあり、今年も会場の日本武道館には大勢の外国人の皆さんが訪れていました。これからも全日本選手権が魅力を放ちつづけ、多くの人を楽しませる大会であり続けてほしいと思います。私もこの大会に育てられた一人として、できることをしていきたいと改めて感じています。
筆者:井上康生


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