片山さつき財務相
This post is also available in:
経済安全保障を強化する法整備である。海外の投資家や企業による対日投資の審査を厳格にする改正外為法が国会で成立した。
日本の機微技術が流出する懸念などがある対日投資への規制を新たに加えた。省庁横断で審査する協議体として、高市早苗政権が目指す「対日外国投資委員会(日本版CFIUS)」創設も法改正で具体化することになった。
対日投資の促進は政権が重視する成長投資に不可欠だ。一方で外国勢力が日本企業の株式取得を通じて技術や情報を奪い、国益を毀損(きそん)する事態もあり得よう。これに適切に対処するのは当然だ。政府は審査体制の強化に万全を尽くしてほしい。
日本版CFIUSは、財務省と事業を所管する官庁が手掛けてきた対日投資の審査体制を拡充するものだ。財務省と国家安全保障局を共同議長とし、外務省、防衛省なども加わると想定される。これを法的に担保する規定を改正法に明記した。
中国の覇権主義追求などを背景に経済安保を強化する重要性が高まっており、対日投資の審査を抜本的に強化する意義は大きい。近く設置される国家情報局との連携も含め実効性のある体制を早急に確立すべきだ。
現行制度は、軍事関連や重要インフラなどに関わる「指定業種」企業の株式を海外勢が一定以上取得する際、原則として政府の事前審査が行われる。改正法は、日本企業の株式を保有する外国企業を別の海外投資家が買収した場合も、「間接的な投資」として規制対象にした。また、国内投資家でも外国政府などの影響下にあれば「外国投資家」とみなす規定も設けた。
問われるのは審査の実効性である。日本の審査体制は人員が少なく、米国のCFIUSと比べて見劣りする。これをどう改善するかも検討課題である。
政府は4月、工作機械大手の牧野フライス製作所の買収を計画したアジア系投資ファンドに対して、安保上のリスクを理由に計画中止を勧告した。審査体制を強化すれば、同様の勧告が増えることもあり得よう。

機微に触れる審査の詳細を明らかにできないのは当然としても、安保上の規制が恣意(しい)的になされていると疑われるようでは対日投資の機運が削(そ)がれかねない。政府が適正な制度運用に徹すべきはもちろんである。
◇
2026年6月7日付産経新聞【主張】を転載しています
This post is also available in:

