沖縄県名護市辺野古沖で船2隻が転覆し同志社国際高の女子生徒らが死亡した事故で、文部科学省は同校の「平和学習」が政治的活動を禁じる教育基本法に違反するとの見解を示し、調査結果の全文も公開した。各紙は一斉に学校側の安全管理のずさんさを批判したが、文科省の違法認定をめぐっては見解が割れた。
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引き揚げられた抗議船「平和丸」を実況見分する海上保安官ら=3月22日、沖縄県名護市(大竹直樹撮影)

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沖縄県名護市辺野古沖で船2隻が転覆し同志社国際高の女子生徒らが死亡した事故で、文部科学省は同校の「平和学習」が政治的活動を禁じる教育基本法に違反するとの見解を示し、調査結果の全文も公開した。国土交通省は死亡した船長を海上運送法違反罪で刑事告発した。

各紙は一斉に学校側の安全管理のずさんさを批判したが、文科省の違法認定をめぐっては見解が割れた。産経と読売は、今回の「平和学習」は政治的中立性を欠くなどとして認定を支持したが、朝日、毎日、日経、東京は教育現場が萎縮しかねないと懸念を示した。

同事故について産経は「教育の政治的中立性を守らず、杜撰(ずさん)で危険な活動が『平和学習』の名の下に行われていたということだ」と指摘し、「学校側や転覆船の関係者、団体は猛省し、今後の捜査や調査に協力すべきである」と訴えた。

転覆した2隻は、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する「ヘリ基地反対協議会」が抗議船として運用していた。同協議会には共産党も加わっている。産経は国交省が刑事告発に踏み切ったのは「それだけ事故の責任が重大だからだ」とし、告発を受けた海上保安庁に「背後関係についても捜査し、厳正に対処してもらいたい」と求めた。

読売は学校の課外活動について「『安全に』『適切に』が前提のはずだ。そのどちらも欠いていたことになる」と指摘した。研修旅行の内容は教職員会議で決定され、校長の責任で実施されたことを踏まえ、船で海に出るプログラムの危険性を「あまりに軽視していた」と批判し、「船長らの責任も重い」とした。

朝日も船の事業登録がなかったことや学校が下見をせず、当日の波浪注意報も確認していなかった点に触れ、「危機意識を欠き、重大事故を招いた学校と市民団体の責任は極めて重い」と論難した。

日経も「同志社側の安全管理は著しくずさんで厳しい非難を免れない。なぜここまで安全が軽視されたのか」と指弾した。

違法認定について産経は「教育の現場で政治的中立を守るという、民主主義の基本に立った文科省の対応は正しい」と肯定的に評価した。そして「政治的中立を確かなものにするには、移設反対だけではなく、賛成意見やその理由もきちんと生徒に伝え、考える機会を与えねばならない」と強調した。

読売は米軍普天間飛行場の辺野古移設に関し「米国や日本政府の立場もあるし、住民の意見も一様ではない。特定の主張のみを教えることが適切とは言えまい」と説いた。

朝日は対照的に「大きな疑問が残る」「行き過ぎだ」と反発し、「平和教育など政治課題を扱うことへの萎縮が広がる恐れがある」と懸念した。「政治色が極めて濃い判断で、それ自体、中立性を欠いているとのそしりも免れないだろう」と難じた。

毎日も「平和教育の取り組みを萎縮させる懸念が拭えない」とした上で、「そもそも何を『政治的中立』と見なすかについては恣意(しい)的な判断が入り込みやすい。移設工事を推進する政府・与党が公正な立場を取れるかは疑問だ」と主張した。

東京も「平和について考え、学ばせようと日々奮闘する教育現場を萎縮させかねない」と憂慮した。日経は「違反の判断基準も不明確だ」と問題視した。

違法認定には共産党系の全日本教職員組合や、辺野古移設に反対する玉城デニー・沖縄県知事も批判している。産経は「調査結果を読んだうえで言っているなら、教育の憲法ともいわれる教育基本法を軽んじているというほかない。読まずに批判しているのなら何をかいわんや、だ」と断じた。

政治的中立性を逸脱した教育の下で生徒が危険な活動に参加し、尊い命が失われた。違法認定によって教育現場が萎縮するとの批判は理解に苦しむ。求められるのは教育の政治的中立性と安全性であり、これらを確保できない「平和学習」などあってはならない。

筆者:坂井広志(産経新聞)

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