2028年ロサンゼルス五輪から女子種目に出場する選手に、性別確認のための遺伝子検査が実施される。男性の体を持つ選手が女性としての性自認を理由に女子種目に参加すれば、公平性を保つことができない。判断は妥当である。
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五輪マークのモニュメント=イタリア・ミラノ(佐藤徳昭撮影)

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スポーツにルールがあるのは、ゲームの公平性、安全性を確保するためでもある。

国際オリンピック委員会(IOC)は、2028年ロサンゼルス五輪から女子種目に出場する選手に、性別確認のための遺伝子検査を実施する。

女子種目への出場資格は「生物学的な女性に限る」とし、出生時の性別が男性で、女性を自認するトランスジェンダーの選手の参加は認めない。

身体的に優位な男性の体を持つ選手が女性としての性自認を理由に女子種目に参加すれば、公平性を保つことができない。格闘競技では、対戦相手を危険にさらす恐れもある。IOCの判断は妥当である。

対象となるのはロス五輪以降のユース五輪などを含むIOC主催大会で、検査は一度だけ、男性の特徴の発達にかかわるY染色体上の「SRY遺伝子」の有無を調べる。

決定に対しては人権上の問題があり、多様性の尊重に逆行するといった指摘もある。だが、これはスポーツ大会の現場には当たらない。男女間の身体能力の差を度外視して競わせれば、試合は成り立たない。格闘種目などで体重別のクラスに分けることと同様である。

IOCの遺伝子検査は女子種目に出場する選手に限られる。男子種目で行われないのは、男子種目に男性と自認する出生時女性の選手が出場しても、そこに身体的優位性は認められず、公平性が損なわれるとはいえないためだ。

女子サッカーや女子テニスなどのトップ選手でトランスジェンダーや同性愛を公表した選手はいるが、その活躍の場は基本的に女子種目である。

陸上競技における男女の世界記録では100メートルで0秒91、マラソンでは9分21秒の開きがある。跳躍種目では、その差はさらに広がる。

IOCはこれまで、出場資格のルールを各国際競技連盟(IF)に委ねてきたが、昨年6月に就任したコベントリー会長は主導的な役割を果たすべきだと主張し、「女性種目保護」の作業部会で協議していた。

IOC初の女性会長でもあるコベントリー氏は会見で、「選手が公平で対等な環境で競えることを最優先した方針だ」と述べた。新会長の英断であると、評価したい。

2026年4月6日付産経新聞【主張】を転載しています

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