柏崎刈羽原子力発電所6号機が14年ぶりに営業運転を開始した。東京電力の原発としては福島第1原発事故後、初めての復活。日本の原子力発電事業にとって負の潮流からの転換の起点となることを期待したい。
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新潟県の東京電力柏崎刈羽原発6号機で、総合負荷性能検査を実施する東電社員ら=4月16日(東電提供)

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柏崎刈羽原子力発電所6号機(新潟県)が14年ぶりに営業運転を開始した。

東京電力の原発としては福島第1原発事故後、初めての復活だ。長い停滞が続く日本の原子力発電事業にとって負の潮流からの転換の起点となることを期待したい。

6号機は改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)で、地震動にも強い炉型だ。135・6万キロワットの発電能力を備え、首都機能を支える基幹電源として重要な役割を担う。需給逼迫(ひっぱく)の懸念が和らぐ意義は大きい。

営業運転により東電の収益は向上する。福島第1原発の廃炉促進も望まれる。

■世界は新増設に転じた

福島事故から15年の歳月が流れた。

日本の原子力発電は、事故当時の民主党政権の脱原発政策のあおりを受け、54基あった原発は廃炉の決定などで33基に激減した。残った原発のうち再稼働に至ったのは、柏崎刈羽6号機を含めても15基に過ぎない。

原発の停止分を代替する火力発電の燃料輸入で、日本の国富は毎年、兆円単位で消え続け、日本経済にも重い負担をもたらした。

一方、海外の原発情勢は、この15年間で日本とは逆方向に変わっている。日本原子力産業協会の調査によると、2011年以降、世界では原発の建設が進み、既に87基もの原発が完成して運転中なのだ。ロシアのウクライナ侵略や中東情勢の不安定化で、エネルギー安全保障の重要性はさらに増している。

新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の(左から)5号機、6号機、7号機=2025年11月

地政学的に厳しい島国の日本にとって、ウラン燃料を一度セットすれば数年間の運転が可能な原発は「準国産エネルギー」としての価値を持つ。国内でその認識が薄いのは残念だ。原発批判に傾き過ぎると、原発を欠くことで生じる深刻なリスクを見落としてしまう。

電力需要も大きく変わった。人工知能(AI)の急拡大やデータセンターの増設、半導体産業の振興などで、今後は増加の加速が予想される。原子力発電の役割はAI時代への対応でも重みを増している。

福島事故後、ドイツが脱原発に転じるなどしていた欧州でも原発の再評価が顕著だ。

欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は、3月10日の国際会議で「原発に背を向けたのは欧州にとって戦略的に誤りだった」と発言した。

欧州ではイタリアなどの国々が原発重視に転じている。米国でも次世代原発や小型モジュール炉(SMR)の導入に向けた動きが広がりをみせている。

日本も現行のエネルギー基本計画で再生可能エネルギーと原子力の最大限の活用を掲げている。今こそ原子力発電の強化に踏み出すべきときである。

■核燃サイクル確立急げ

関西電力は、次世代原発の増設を検討しており、日本原子力研究開発機構では発電と水素製造が可能な革新原発・高温ガス炉の研究が進められている。

だが、制度面の課題が残る。原子力規制委員会の安全審査の異常な長期化だ。国際的な評価が高い米国の規制機関は、審査のさらなる迅速化に向けて組織再編に取り組んでいる。

日本の規制は硬直的に過ぎる部分もある。原発のテロ対策施設の新設工事が5年以内に完了しなければ、電力会社は再稼働した原発の停止を余儀なくされる制度が一例だ。

規制委は今月、是正を決めたが、この制度のために東電は当初予定していた柏崎刈羽7号機の再稼働を先送りし、6号機に変更した経緯がある。今年末に停止せざるを得なかった東北電力女川原発2号機(宮城県)は、制度が是正されることで運転を続けられるようになる。

柏崎刈羽6号機の営業運転開始は、日本の原子力政策が長い停滞を脱したことを示す一歩だが、この流れを永続的にするには国家プラン・核燃料サイクルの確立が至上の懸案だ。

そのためには日本原燃の再処理工場(青森県)の完成を急ぎたい。使用済み燃料の再処理で分離される高レベル放射性廃棄物の地層処分の候補地探しも必須案件である。

地層処分では、東京都小笠原村の渋谷正昭村長が南鳥島での文献調査を事実上容認する考えを表明した。文献調査は佐賀県玄海町でも進み、北海道の2町村では次の概要調査への移行の可否が焦点だ。日本のエネルギー安保の強化に向け、高市早苗政権の注力を期待する。

2026年4月18日付産経新聞【主張】を転載しています

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