遺骨からダイヤモンドに似た人工鉱石モアサナイトを生成する新技術が開発され、共に生きる石を意味する「リヴナイト」として販売が始まった。犬の供養を主力に展開する。
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ペット博会場。遺骨からつくる宝石「リヴナイト」のブースは、カプセルトイ特典もあって愛犬連れで盛況だった=千葉市(重松明子撮影)

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遺骨から人工ダイヤモンドが作れることは、20年ほど前から日本でも知られるようになっているが、海外発注でお金と時間がかかる印象も強い。そんな中、国内で遺骨からダイヤモンドに似た人工鉱石モアサナイトを生成する新技術が開発され、共に生きる石を意味する「リヴナイト」として販売が始まった。犬の供養を主力に展開し、5月に千葉市で開かれた「ペット博」に出展。3日間で約1200人がブースを訪れたが、遺骨を託す繊細な未知の商品だけに慎重な愛犬家の声も聞かれた。

飼育1位は東京 大都市圏見据え

「ご遺骨や毛でつくる宝石」の看板の下、「きらきらしてる」と見本の指輪をのぞき込む女性。ゴールデンウイーク中の4日。幕張メッセで開かれたペット博での一コマである。

遺骨ジュエリーブランド「Sol(ソル)&Hug(ハグ)」ブースで、販売代理店を担うLIVENT(リベント・東京都品川区)の三上力央社長(52)が取材に応じた。「リヴナイトの光の屈折率と分散度はダイヤモンドを上回る。耐久性も高く、アクセサリーとして身に着けていただくご提案もしています」

価格は直径4ミリ(0.2カラット相当)で19万8000円で、プラチナ指輪加工の場合、31万円からなど。「従来の人工ダイヤモンドは高額な設備が必要な高温高圧法と呼ばれる製法で、米国やスイスの企業が有名ですが、価格は100万円超えが主流。対してリヴナイトはより多くの方の選択肢になりえる。千葉県内で一点一点手作りしているが、遺骨からの人工モアサナイト製造は他に聞いたことがない」

遺骨から得た炭素を、ケイ素や溶媒とともに密閉・加熱し、核から結晶を育ててモアサナイトを生成する技術は3年前、千葉県船橋市の鉱物研究者が開発。商業化のパートナーとして、オーダーメード葬儀「花葬儀」を首都圏で展開するリベントに声がかかった。必要な遺骨量の目安は直径4ミリの宝石で10グラム、7ミリで15グラム。テスト販売を昨年始め、人の遺骨も含めて39件を受注している。

遺骨から作った人工モアサナイトは、ダイヤモンドのようにアクセサリーとして身に着けることもできる(重松明子撮影)

柴犬2頭を連れて立ち寄ったコンサルタントの女性(28)は、「ダイヤと比べたら現実的なお値段。技術の発達で、きれいな形で思い出が残せることを初めて知りました。自分たちより早く亡くなっちゃうから、形見の品として乳歯を取っているんですよ」

洋犬2頭を連れて両親と来場した20代女性は「生成過程の情報が少なく不透明に感じる部分もある。大切な遺骨を預けるのだから信頼や納得感が大切」と指摘した。家には代々の愛犬十数頭の遺骨があるそうだ。「結構場所も取っている。宝石にしたら小さくできるかな。でもアクセサリーにして落としたらショック。家に飾っておくだろうね」などと親子で話していた。

厚生労働省によると都道府県別の犬登録件数は東京都が最も多く、令和6年度末現在で55万9千頭。神奈川県、愛知県、大阪府、埼玉県と続き、大都市圏のペットビジネス、ひいてはペット葬祭市場の潜在力を示している。「手厚く弔いたいという方が多い。当初は人の葬儀のオプションと考えていたが、ワンちゃんの遺骨を何年も家に置いたままでどうしよう。そんな声を何人も聞いてニーズに気付いた」と三上社長。

東京都新宿区の主婦(62)は義母を花葬儀で見送った縁で、長年自宅の仏具の厨子に祭っていたミニチュアダックスフント2頭の遺骨でリヴナイトを作った。

「箱を開けたとき、あまりにも輝きがすごくて、えっ!? 息子には、この宝石を私の骨壺に入れてと伝えています」。亡き愛犬の肖像画を着物の帯に描いてもらったこともあるが「締めると切なくなってしまう」。今回もアクセサリーとして身には着けず、厨子に安置している。「今の3頭も10歳を超え、主人と覚悟しておこうねって。そのとき多分、またお願いすると思います」

自分より先に死ぬことがわかっているのに、なぜ人はペットを飼うのか…。根源的な問いに突き当たる。

筆者:重松明子(産経新聞)

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