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日本の若者の声を世界に発信する「Ignite」の第41回は、東日本大震災をきっかけに誕生した日米の若者のリーダーを育成する日米の官民パートナーシップ「TOMODACHI イニシアチブ」の同窓生、奈良女子大学4年(当時)、芝田晴野さんの思いを綴ったエッセイ「多主体の連携から考える社会課題の解決」を紹介します。

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多主体の連携から考える社会課題の解決
「このままで、日本は変わるのだろうか」
日本のジェンダーギャップの現状に向き合ったとき、私の中に生まれた問いである。
社会課題を解決するために、どのような機関がどのように関係し合っているのかその構造そのものを捉えたい。そう考え、私は2025年、Building the TOMODACHI Generation: Morgan Stanley Ambassadors Programに参加した。アメリカでの研修では、公的機関・民間企業・第三者組織がそれぞれの役割を担いながら相互に補完し、時に牽制し合うことで社会課題に取り組む現場を目の当たりにした。この経験から、社会は単一の主体によって動くのではなく、異なる立場の結びつきによって成り立っているという視点を得た。

この視点を確かめるため、私は能登半島復興ツアーに参加した。多主体の連携が現場でどのように機能しているのかを知ること、そして被災地を自分ごととして捉え直したいと考えたためである。
現地で最も印象に残ったのは、「連携」の裏側にある負荷であった。トークセッションでは、ゲストの堂下真紀子さんが被災者自身が行政や外部支援者との関係性や業務の調整や取りまとめを担っている実態を語っていた。その内容は、私が想像していた「協働」とは異なり、利害の異なる主体をつなぎ続けることによる葛藤や精神的な負担を伴うものであった。

この話を通して、私は初めて、連携は善意によって自然に成立するものではないと気がついた。それまでの私は、復興には各主体の協力が前提として存在するものだと考えていた。しかし実際は、各主体との間に誰かが立ち続ける必要があり、“見えない労働”が確かに存在していた。
また、「災害ユートピア」という言葉も印象的であった。災害時には人々が自発的に助け合おうとする動きが起こる。しかしその状態もまた自然に維持されるものではなく、関係性をつなぎ続ける働きによって支えられているのだ。
こうして得た知見を通して、私は社会課題に対して「自分に何ができるのか」ではなく、「どのような関係性の前提があって、どこで摩擦が生じて「問題」となっているのか」を考えるようになった。
私は経済学を専攻し、特に既婚女性の労働について関心を持って研究している。その背景には、自身の家庭において、女性が出産を機に男性の経済的庇護を前提とし、自身のキャリアと引き換えに家庭内の責任を負ってきたという構造への問題意識がある。
今回の能登でのゲストトークにおいて、地方で女性が会社を起こすこと、前に出ることに対して、少なからずプレッシャーが存在していたことを知った。
こういった個人の問題の背景には、扶養関係における納税制度、家計、債務者と銀行、政府と企業といった複数の主体の意向がミクロ、マクロレベルで重層的に存在している。したがって、これを単なる個人の選択の問題として捉えるのではなく、主体間の関係性そのものの設計の相互設計を問い直し、その摩擦を減らすにはどのようなアプローチが有効か考える必要があると感じた。
能登で見た、連携の裏側と、それを支える人の負担は、自身の関心領域とも深く重なっている。今後は、表に見える成果や制度だけでなく、それを支える構造や調整の在り方に目を向けながら、社会課題に関わっていきたいと考えている。

筆者:芝田晴野(奈良女子大学 生活環境学部文化情報学科生活文化学コース)
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