トラクターで掘り起こされたカエルを丸のみするアオサギ(大山文兄撮影)
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日本海に浮かぶ新潟県・佐渡島にも遅い春が訪れた。本格的に農作業の準備が始まり、田んぼの田おこしが行われている。この田おこしを何よりも待ちかねているのがトキをはじめとする鳥たちだ。
長い冬が終わり、田んぼでは、トラクターのエンジン音が響く。トラクターが動き出すと、その周囲に、鳥たちが集まってきた。鳥たちのお目当ては、土の下で冬眠しているカエルなどの小動物だ。
水を張る前、固くなっている土をクチバシや足で掘り越してエサをとるのは重労働だ。その労働を肩代わりしてくれるのがトラクターだ。鳥たちはよく知っており、トラクターにねぐらを壊され、地表に掘り起こされたカエルやザリガニたちを、容赦なく襲う。

大事な田起こし作業
田起こしは3月から4月、固まった田んぼの土を掘りおこし、米作りの最初に行う作業だ。土を堀りおこすことで、土の中に空気が入って、微生物による有機態窒素の分解が促進され、植物が吸収しやすい無機体窒素に変化する。空気がたくさん含まれることで、苗を植えたときの根の成長も促進される。稲の切り株やレンゲなどの有機物もすきこむことで微生物やミミズなどが分解して、養分を作る。まさに天然の有機肥料だ。田起こしされた土は、触ってみるとふかふかだ。
本州では乾いた状態で田起こしをするが、佐渡では田の水もちが悪いため、水をいれながら田起こしをすることで、地中にあいた穴や亀裂を埋めていくのが主流という。
このトラクターの後をついてまわるのがサギの集団だ。


臆病なトキの姿も
特に、食いしん坊でより効率よく餌取りを行いたいアオサギは、トラクターの後を追いかけ、掘り起こされたカエルやザリガニが再び土の中に潜ろうとする前に次々ととらえていく。最近では、臆病なトキまでも仲間に加わっている。

田んぼの上空を旋回しながら、餌を探しているのはトビだ。人間の10倍近い視力で小さな動きも逃さず、掘りこされた小動物をものすごいスピードで捕まえる。餌を巡って、トビ同士の空中戦の喧嘩もしょっちゅうだ。寝ていた小動物には気の毒だが、春の田んぼは鳥たちの楽園となる。一日中、見ていても飽きない。


これから稲の苗作り、5月には田植えも始まる。私も農作業に本格的に着手する。農作業で忙しくなる前のつかの間の楽しい撮影タイムとなった。

筆者:大山文兄(フォトジャーナリスト)
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■大山文兄(おおやま・ふみえ)産経新聞社写真報道局で新聞協会賞を2回受賞。新聞社時代に11年間にわたり、トキの野生復帰を取材。2020年に退社して佐渡島に移住、農業に従事しながら、トキをはじめとする動物の写真を撮り続けている。映像記者として佐渡の魅力を発信中。インスタグラムでフォローしてください。
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