農林水産省の調査で、日本で開発されたブランド農産物の海外流出が拡大している恐れが浮き彫りとなった。国内で開発された種苗の海外への無断持ち出しは禁じられてきたが、流出への歯止めは利かず、国は規制強化に乗り出す。
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山梨県産の高級シャインマスカット(奥原慎平撮影)

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農林水産省の調査で、日本で開発されたブランド農産物の海外流出が拡大している恐れが浮き彫りとなった。収益性の高い品種だけに国内農業が被る被害は深刻。過去に流出が確認された高級ブドウ「シャインマスカット」は中国で産地化が進んでおり、損失額は年間200億円ほどに上るとされる。これまでも種苗法により国内で開発された野菜や果物など種苗の海外への無断持ち出しは禁じられてきたが、流出への歯止めは利かず、国は規制強化に乗り出す。

アジアで格安販売か

農研機構が33年にも及ぶ研究の末に開発したシャインマスカットをはじめ、日本の新品種が海外に不正に持ち出されて栽培され、アジアなどで格安で販売される問題が相次いでいる。政府はこうした事態を受け、令和2年に種苗法を改正。登録した果物や野菜などの種や苗の海外への無断持ち出しを禁じた。6年度末時点で約7000品種が対象となっている。

ただシャインマスカットの場合は、すでに流出後だったため有効な手だてとはならなかった。農水省によると、4年時点の中国の栽培面積は日本の約30倍の推計7万3700ヘクタールにまで及ぶ。生産物が周辺国に輸出されているケースも確認しており、鈴木憲和農相は6月の会見で損失額が少なくとも年間200億円弱に上ると明らかにした。

さらなる規制強化へ

農水省が昨年実施した調査では国内で開発した果物など50品種ほどが海外流出した恐れが判明。2年に公表された前回調査と比べて拡大した。中には、品種登録前の段階が狙われる事例もあるとみられる。

というのも新品種の登録をめぐっては、農水省に出願し登録されると、知的財産権の一種で、生産や販売を独占できる「育成者権」が与えられるが、審査にはおおむね3~6年ほどかかる。自治体や公的組織といった開発者側は審査中であっても登録後のスムーズな販売普及のため、種苗の増殖や産地での試験栽培を進めることが多く、以前からこの段階での流出リスクが指摘されていた。

政府はこうした現状を受け、新品種の登録前でも無断輸出を差し止めることができる種苗法改正案の成立を目指す。登録の出願公表がされた時点で、民事裁判を通じて輸出を差し止めることが可能になる請求権を創設し、種苗や収穫物を廃棄させることができるようにする。

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筆者:中井芳野、田村慶子(産経新聞)

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