タンザニアの「さくら女子中学校」を支援する昭和女子大学のプロジェクトに参加する学生たちが、等身大の言葉で活動のリアルを伝えるシリーズ第1回。
Sakura Girls waiving Part 1

タンザニアの「さくら女子中学校」の生徒たち(©SGSS)

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本稿は、昭和女子大学の「プロジェクト型学習(PBL)」の一環として、タンザニアの「さくら女子中学校(Sakura Girls Secondary School=SGSS)」を支援する学生たちによるリレー投稿である。2022年に始まったこのプロジェクトは、単なる資金援助に留まらず、オンライン交流や現地渡航を通じた双方向の学びを目的としている。学部を超えて集まった学生たちが、この活動を通して、何を学び、受け取ったか。学生自身の等身大の言葉で、活動のリアルを伝えたい。

「タンザニア大使として国を変えたい!」
「私は弁護士になりたい!」
「医者になって人の命を救いたい!」

オンライン越しに、中学生の少女たちが次々と夢を語り始めた瞬間、私は驚いた。日本の大学生でも「将来の夢は?」と聞かれてすぐ答えられないことが多いが、彼女たちは一切迷わない。

なぜ、ここまで夢を明確に描けるのだろうか?

その背景には、タンザニアにおける女子教育の厳しい現実がある。

さくら女子中学校の卒業式(©SGSS)

タンザニアの教育制度

タンザニアの教育は、日本と比べものにならないほどハードルが高い。小学校(7年制)が授業料無償化されたことで通い始める子は97%まで増えた。でも、実際に学校に残り続けられる子は驚くほど少ない。

  • 中学校(4年制)の在籍率:約32%
  • 高校(2年制)の在籍率:わずか4%

日本のほぼ100%という数字と比べれば、その差はあまりに大きい。

なぜ、中学で「3割」まで減ってしまうのか?

1.「国家試験」の壁

日本では、成績が悪くても基本的には進級できるが、タンザニアでは、学年の節目にあるテストに合格できないと、留年するか、学校を辞めるしかなくなってしまう。

2.「言葉」の壁

小学校までは母国語(スワヒリ語)で授業を受けるのに、中学に入った途端、すべての授業が「英語」に切り替わる。これが、多くの子にとって大きな挫折の原因になっている。

3.「教育の質」の壁

多くの子が通う公立学校では、机も教科書も足りないほどパンク状態。チャイムが鳴っても先生が教室に来なかったり、来ても教科書の内容をただ黒板に写すだけの授業だったりすることも少なくない。また、家計のために学校をやめて結婚や仕事を選ばざるを得ない現実もある。

その結果、高校へ入学するための試験に受かるのは、かつてわずか3%(2016年)なんてこともあった。つまり、ほとんどの子が高校へ進む前に、勉強を諦めざるを得ない。

さくら女子中学校の入り口(©大久保茉弥)

さくら女子中学校:女の子たちの未来を育む場所

私たちが交流している「さくら女子中学校」は、そうした少女たちが安心して学べる全寮制の4年制女子校だ。2016年に一般社団法人「キリマンジャロの会」と現地NGOによって、キリマンジャロの麓・アルーシャ州に設立された。

さくら女子中学校の校内 (© SGSS)

学校の特徴は三つ。

① 実験や対話に基づく理数系教育

タンザニアには今も「女性は家事をするもの」という古い慣習が残っている。そんな社会で女性が自立し、キャリアを築くために最も有力な武器となるのが、医師や技術者といった理数系の専門職だ。そのため、さくら女子中学校では、実験や対話を通じて数学・科学への理解を養い、彼女たちが実力で未来を切り拓く力を育てている。

② 生徒主体で進めるリーダーシップ教育

日常的にディベートやスピーチなどを行い、個々の発信力や影響力を身につけている。

③ 日本の学校や企業との交流を通じた国際教育

カリキュラムの中に日本語や日本文化の授業を取り入れている。単に言葉を覚えるだけでなく、日本の高校生や大学生、時には専門家たちが現地を訪れて特別授業を行うこともある。 将来は日本とタンザニアをつなぐ役割を担う主体となっていくことが期待できる。

日本文化に関する講義を聴講する「さくら女子中学校」の生徒たち(©大久保茉弥)

彼女たちはなぜ明確に夢を抱くのか?

それは、学ぶことがそのまま “人生の選択肢” を増やす社会だからこそ、彼女たちは未来を語る。教育こそが、自分の人生を切り拓く力になると知っているのだ。

さくら女子中学校の生徒たちの1日は朝5時に始まり、1日10時間近く勉強している。 「夢を叶えたいから」という理由で毎日努力を続ける―その当たり前のようでいて強い姿勢に何度も心を打たれた。正直、日本で大学生活を送る私にとって、ここまで全力で“夢に向き合う”という感覚は新鮮だった。

Students' early morning study session, Sakura Girls Secondary School in Tanzania. (© SGSS)

高校進学の国家試験では、成績ランクがDivisionⅠ〜Ⅳ(Ⅰが最良)とされる中、2026年度卒業の第7期生は全員がDivisionⅠまたはⅡを取得した。これはさくら女子中学校が位置するアルーシャ州の中でもトップクラスの成績であり、彼女たちの日々の努力の成果が確かな形で表れたことに、私たちもこの上ない大きな喜びを感じている。

昭和女子大SGSSグループとさくら女子中学校の生徒たちによるオンラインミーティング(©宇田川美香恵)

支援を超えた、私たちのつながり

私たち学生がさくら女子中学校とつながったのは2022年。グローバルビジネス学部・今井章子教授のゼミ生を中心に、学内の現代ビジネス研究所で始まった認定Project-based Learningだ。学生が授業で学んだ知識や技術などの専門知識を活かして、学外組織と連携し、社会貢献活動を実践しながら学びを深めるプロジェクト学修である。今では学部を越えて多くの学生が参加し、「キリマンジャロの会」、マーサージャパン、(株)ダイハツ東京販売、西武信用金庫と協力しながら、学園祭での募金バザーやタンザニア渡航、オンライン日本語教室などを続けている。

さくら女子中学校を支援する学生バザー(©昭和女子大)
(©昭和女子大)

活動が続いてきた理由はただ一つ。さくらの少女たちの“夢に向かうまっすぐな姿”が、私たちを動かし続けているからだ。

さくら女子中学校で学ぶ生徒たちは、私たち日本の学生との交流をとても楽しみにしてくれている。彼女たちと関わる中で、私の中にあった支援のイメージも大きく変わった。当初は「私たちが何かを届ける側」だと思っていたけれど、実際は彼女たちから励まされ、学ばされる瞬間の方が多かった。

支援する/されるの関係性を超えたつながり。「誰かの夢を応援することは、自分自身の夢を見直すことでもある」そんな実感を与えてくれたのが、さくら女子中学校の少女たちだった。

女子教育を支えることは、単に知識を届けることではない。お互いの人生の可能性を広げることだと、私たちはこの交流を通して実感している。

次回は、私たち大学生が実際にどのように彼女たちと関わり、互いから何を学び合っているのか、その具体的な活動内容について紹介したい。

Asante sana!🥰

さくら女子中学校の生徒たち(©昭和女子大)

筆者:宇田川美香恵(昭和女子大―さくら中学校支援プロジェクト)

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