最大震度7を観測した熊本県の被災地で、西日本に接近すると予測されている台風13号への懸念が強まっている。災害級の暑さに直面する被災地で今、どんな対策が必要なのか。
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屋根にブルーシートがかけられた民家。被災地では台風などによる複合災害も懸念される=8月1日午後、熊本県八代市(酒井真大撮影)

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最大震度7を観測した熊本県の被災地で、西日本に接近すると予測されている台風13号への懸念が強まっている。ルート次第では緩んだ地盤の崩壊や損壊した建物の一部が飛ばされるなどの被害も想定され、今後本格化する復興に影を落とす可能性がある。過去にも地震の被災地が大雨被害に遭う「複合災害」が発生した事例があり、専門家は前倒しの避難行動を呼びかける。災害級の暑さに直面する被災地で今、どんな対策が必要なのか。

「屋根のブルーシートは土嚢(どのう)を置いて固定しているだけ。強い風で飛んで行ってしまうかもしれない」

熊本県宇城(うき)市の50代女性は不安な心境を吐露する。自宅は大きな損傷を免れたが、近所にある長男宅は屋根瓦が落下。長男の友人が手伝ってくれて、ようやく応急処置を施せたところで、「台風接近は非常に心配だ」と話した。

気象庁によると、非常に勢力の強い台風13号は南鳥島近海から西北西へ進んでいる。今後の進路次第で九州地方にも大雨などの影響を及ぼす可能性があり、被災者からは不安の声が相次ぐ。

複合災害とは、地震や豪雨、津波といった複数の災害が同時または短期間で連続して発生する事象を指す。

倒壊した家屋からの救出活動を行う警察官ら=7月30日午前、熊本県八代市(恵守乾撮影)

記憶に新しいのが、令和6年9月に能登半島を襲った豪雨だ。9月21日、元日の能登半島地震から復興途上にあった半島北部で線状降水帯が発生。被災者向け仮設住宅が浸水するなど被害が拡大した。激震から8カ月以上が経過していたが、地盤に亀裂が入ったままで、山腹などの土砂が大量に流れ下った。土砂崩れなども相次ぎ、災害関連死を含む豪雨による死者は21人に上った。

大雨によって住宅に押し寄せた流木=2024年9月、石川県輪島市

平成28年4月の熊本地震でも、約2カ月後に停滞した梅雨前線による大雨が被災地を襲い6人が亡くなった。地震で緩んだ地盤に雨が降って起きた土砂崩れに巻き込まれたとして、うち5人は地震の犠牲者数に計上されている。

国土交通省は今年1月に同省の南海トラフ巨大地震対策計画を改定し、能登半島での地震と豪雨などを教訓に、複合災害への対応を盛り込んだ。ドローンによる迅速な被害把握など、応急対策の強化を柱に据えた。

8、9月は台風の上陸が多いシーズンでもあり、被災地では台風13号以外でも引き続き警戒が求められる。

複合災害に詳しい防災システム研究所(東京)の山村武彦所長は、台風が地震の被災地に接近した場合、大雨による土砂崩れや河川の氾濫が起きる可能性があると指摘。地震で散らばったガラス片や瓦などが飛散する危険性も想定される。

複合災害による被害拡大を念頭に「通常よりも前倒しした避難行動を心掛けてほしい」と強調。「時間は限られている。ノウハウを持った専門チームの派遣など、行政が主導し可能な限りの支援をしてほしい」とした。

筆者:堀口明里、土屋宏剛(産経新聞)

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