災害対策の司令塔となる防災庁の設置法が成立した。日本は世界有数の災害国であり、防災対応を専任とする内閣直属の組織が創設される意義は大きい。
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特別国会が閉会し記者会見を行う高市早苗首相=7月27日午後、首相官邸(春名中撮影)

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災害対策の司令塔となる防災庁の設置法が成立した。官民で対策を抜本的に強化する契機としたい。

日本は地震、火山噴火、水害などが多発する世界有数の災害国だ。武力攻撃による有事の人的災害も起こり得る。これらの防災対応を専任とする内閣直属の組織が創設される意義は大きい。

南海トラフ地震や首都直下地震は高い確率で発生が予測されているが、死者数などを減らす政府の減災計画は目標達成が大幅に遅れている。11月の発足を目指す防災庁は、まずその原因をしっかり検証し、計画を加速させなくてはならない。

防災の基本政策を担ってきた内閣府の防災担当を格上げして設置する。これまでは人員や体制が万全ではなく、関係省庁の調整役にとどまり、減災計画の進捗(しんちょく)の管理も不十分だった。こうした状況を打開し、縦割りの弊害をなくすことが責務だ。

減災の取り組みが遅れている関係省庁には改善を勧告でき、省庁はそれを尊重する義務を負う。権限の拡大とともに責任も重くなると肝に銘じ、確実に減災を実現してもらいたい。

特に問われるのが指導力である。勧告権は安易に行使すべきものではない。まずは説得力のある改善策を省庁に提示し、実行を強く促す必要がある。

そのためには科学的な根拠に基づく政策がより重要になる。シミュレーションによって地域の災害リスクをきめ細かく把握するなど、調査研究や技術開発の機能を強化し、防災の研究と戦略を主導すべきである。

人材の育成も大きな課題だ。新設する防災大学校で職員や自治体、民間などに対し実践的な教育や研修を行う計画だ。

将来の防災を担う人材も育てる必要がある。学校教育で地学や地理を学ぶ機会を増やし、大学は地球科学や危機管理の学科を拡充するなど、長期的な視野で取り組んでほしい。

防災庁は武力攻撃を受けた際に避難住民を救援するための事務や訓練を内閣官房と連携して担うことも忘れてはならない。万全を期してもらいたい。

防災庁は財務省に予算関連の勧告は行わない方針で、防災予算の獲得にどこまで関与できるか不透明だ。一方、人口減少で予算や人員の確保が難しい地方自治体への支援は重要な使命である。力量が問われよう。

2026年7月27日付産経新聞【主張】を転載しています

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