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空自、露の主力戦闘機と初訓練へ インド軍保有

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航空自衛隊がインド空軍と初めて戦闘機による共同訓練を行うことが22日、分かった。印空軍はロシアからの輸入やライセンス生産で保有している主力戦闘機のスホイ30を投入する方針で、露製戦闘機との共同訓練も初となる。スホイ30は中国空軍も採用しており、日本領空付近に展開させている。共同訓練は昨年6月と今年7月に予定し、新型コロナウイルスの影響で延期したが、中国の脅威をにらみ、空自と印空軍はともに年度内に実現したい意向で一致している。

 

戦闘機の共同訓練は相手国のパイロットと高度な意思疎通ができ、信頼関係もなければ事故につながりかねないため、最もレベルの高い共同訓練に位置づけられる。空自が戦闘機訓練を行ったことがあるのは米国と英国、オーストラリアだけだ。

 

空自と印空軍の共同訓練は平成30年12月の輸送機による訓練から始まった。空自はインドのアグラ空軍基地に美保基地(鳥取県)の第3輸送航空隊のC2輸送機1機と隊員20人を派遣し、印空軍のC17輸送機などとの飛行訓練や相互搭乗を実施した。

 

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令和元年10月にもインドのアルジャン・シン空軍基地に空自がC130輸送機1機を送り、編隊飛行訓練などを行った。これにより共同訓練を定例化することに道筋がつき、空自と印空軍は訓練内容のレベルを引き上げ、戦闘機の共同訓練を行うことにした。

 

戦闘機訓練は昨年6月に小松基地(石川県)で空自のF15戦闘機と行うことを計画したが、新型コロナの影響で延期。続いて今年7月に百里基地(茨城県)でF2戦闘機と実施する予定で調整を重ねたが、インド由来の変異株「デルタ株」の拡大を受けて再び延期となり、今年度内の実施に向けて再調整に入る。

 

防衛省によると、印空軍はロシアからの輸入のほか、技術移転協定に基づきインド国営企業がライセンス生産もしているスホイ30を263機、旧ソ連で生産したミグ29を61機保有している。フランス製の戦闘機も52機導入しているが、印空軍は空自との共同訓練で主力戦闘機のスホイ30を6機程度派遣する見通しだ。

 

インドは中国との間で国境未画定地域を抱える。昨年5月には国境付近で中印両軍の衝突が起き、6月の衝突では45年ぶりに死者が出るなど緊張が高まった。

 

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中国軍採用のスホイ30 「能力」を解析、対処力強化へ

 

航空自衛隊がインド空軍と初めて戦闘機の共同訓練を行う具体的な計画が明らかになった。ロシア製のスホイ30戦闘機を導入している中国空軍が同機を東シナ海上空などで日本領空付近に展開させている中、印空軍の同機を相手に共同訓練を実施することは中露への対処力を強化する上で日本にとって意義が大きい。

 

「実現すれば画期的だ」

 

空自戦闘機パイロットだった元空将の織田邦男氏は印空軍との戦闘機訓練について、そう指摘する。画期的というのは印空軍が共同訓練にスホイ30を投入することを指す。

 

旧ソ連時代を含めロシアが開発・製造した戦闘機が日本の地に降り立てば昭和51年のミグ25事件以来となる。旧ソ連の国土防空軍中尉、ビクトル・ベレンコが乗るミグ25戦闘機が米国への亡命を目的に北海道・函館空港へ強行着陸した事件だ。その後、ミグやスホイといった戦闘機が日本に着陸したことはない。

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防衛省統合幕僚監部によると、記録を確認できる平成18年以降、露空軍のスホイ30の日本領空への接近飛行は確認されていない。

 

中国空軍はロシアからの輸入でスホイ30を97機保有し、28年に沖縄本島と宮古島の間の空域を通過して太平洋に進出するのが初めて確認された。爆撃機と連携して同じ空域を通りながら多様な飛行を繰り返し、作戦能力を高めている。29年には中国軍戦闘機として初めて日本海にも進出した。

 

印空軍のスホイ30と空中戦などの共同訓練を行うことは空自にとってスホイ30の能力が手に取るようにわかる利点がある。訓練を通じ、機動性や航続距離、燃料消費量といった機体の特性はもちろん、整備の方法や時間も把握できる。交流の一環で空自パイロットがスホイ30のコックピットに乗り込むことも可能だ。

 

それにより、公刊資料などから推定するしかなかったスホイ30の強みと弱みを特定し、中露両空軍がスホイ30をどのように運用するのかという想定を抜本的に更新する。その想定は対処力を向上させる訓練に生かす。有事での中露のスホイ30をはじめとした航空戦力を迎え撃つ作戦の立案に反映することもできる。

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空自は陸・海自より遅れて印空軍との共同訓練を始め、30年の輸送機訓練から空軍種訓練のゴール地点とされる戦闘機訓練まで一気に連携を深めようとしている。全方位外交を掲げるインドとの戦闘機訓練は日米豪印4カ国の連携枠組み「QUAD(クアッド)」を深化させるのみならず、米豪との訓練とは質の異なる価値を生む。

 

筆者:半沢尚久(産経新聞)

 

 

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