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「燃える氷」回収技術が一歩前進 新潟・上越沖で調査

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国産の次世代資源として注目されているメタンハイドレート。新潟大学などと回収技術開発を進めているシンクタンク、独立総合研究所(東京)が7月上旬、多くのメタンハイドレートが存在するとされる新潟県上越市沖の海底などを調査したところ、新たな知見が得られたという。同研究所の社長で東京海洋大学特任准教授の青山千春氏に調査結果や今後の見通しを聞いた。

 

 

穏やかな海底

 

-どのような回収技術を開発しているのか

 

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「ドーム状の大規模な膜を海底に設置して、その下でメタンハイドレートを採掘。メタンだけを分離してパイプで洋上のプラットホーム(回収生産基盤)まで運ぶというものだ。海中に漏れ出たメタンもドーム内にためて回収できることから、高い回収率が期待できる。また、膜で覆うことで採掘時の懸濁物(水中に混ざっている物質)が外に漏れず、周辺環境への影響も抑制できる」

 

-今回どのような調査を行ったのか

 

「上越市の直江津港から北に40キロほどのところに、多くのメタンハイドレートが存在するとされる海域がある。その水深約900メートルの海底に超音波ドップラー流速計(ADCP)を1週間ほど設置し、海底付近の海流速度のデータを収集してきた。流れの速さを把握することで、ドーム状の膜に取り付けるアンカー(重し)の強さをどの程度にすればいいかなどがみえてくる」

 

-得られたデータは

 

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「海底付近の速さは毎秒1センチほどで、ほとんど流れがないことが分かった。こうしたデータはこれまでになかった。海底付近が穏やかということは、ドーム式の膜を使う方法がこの海域では適していると考えられる。今後はもっと長期間にわたって流速計を設置し、潮の満ち引きや季節による海流の変化もみてみたい」

 

-今後の予定は

 

「この方式によるメタンの回収実験を来年度末までに実施し、技術のおおよその完成を目指したい」

 

-回収したメタンの利用方法は

 

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「個人的には、新潟県内の企業に参加してもらい、メタンを地産地消するのが良いと考えている。また、海中でメタンを水素にする試験も現在、行っている。来年ぐらいには船を使いメタンから水素をつくる実験も行いたい」

 

海底の海流速度を計測する超音波ドップラー流速計(ADCP)(独立総合研究所提供)

 

新たな知見

 

-佐渡島沖でも調査を実施したとか

 

「佐渡島北東沖の約7キロ四方の海域で、海底から海面に向かってメタンの泡が柱のように立ち上っている箇所が約200カ所確認できた。5年前に同じエリアを調査した際は37カ所で、今回の調査で増えていることが分かった」

 

-これもドーム式の膜で回収するのか

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「メタンが立ち上っている箇所に小規模のドーム式の膜を設置し、膜内にメタンをためて回収することを想定している。これは地球温暖化対策にも貢献する可能性がある」

 

-どういうことか

 

「海面に到達したメタンは大気中に出ていく。これを放置しておくと、メタンは二酸化炭素よりも温室効果が高いため、より温暖化を進行させてしまう。温暖化対策の面からもこのメタンは回収したほうがいい」

 

-政府も関心を示しそうだ

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「実は、佐渡島沖のこの海域は、政府がメタンハイドレートが多く賦存(理論上は存在すること)すると認識していないエリアだ。この調査結果を政府に報告し、このエリアでも回収を目指すよう提言したい」

 

聞き手:本田賢一(産経新聞)

 

 

■メタンハイドレート
天然ガスの主成分メタンが水とともに氷状になったもので、〝燃える氷〟とも呼ばれる。

 

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