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「IT人材養成ブートキャンプ」 プログラミング教育で人生と日本を変える

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学歴職歴不問。プログラミングは現代最強の実学だろう。あらゆる分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)の変革が進むなか、IT人材不足は令和12年に約79万人に及ぶとの試算もある(平成31年発表・経済産業省調査)。育成が急がれるなか「ブートキャンプ(新兵訓練施設)」と呼ばれる短期集中型養成所に注目だ。人材が欲しい企業側だけでなく、入学者にとっては人生の逆転を狙えるチャンス。ITエンジニアとして羽ばたこうと、多様な来歴の男女が集まる。バレエダンサーからの転身組にその実態も聞いた。

 

 

グーグルやメルカリのエンジニアに

 

ブートキャンプ型養成所は現在都内に12校を数え、東京・元麻布の「コードクリサリス」はその草分けだ。校名には「さなぎ」の意味が込められている。卒業生は開校4年半で830人。グーグルやメルカリなどの超有名企業にも人材を送り込む、そのカリキュラムへの評価は高く、昨年末には教育大手のベネッセホールディングスと、DX領域の先端人材育成を進める業務提携契約を結んだ。

 

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「日本を再びナンバーワンの技術立国に押し上げたい」と語るカニ・ムニダサCEO(49)。日本がDXで世界に後れをとっている原因は「ソフト屋」のポテンシャルが発揮できない教育と環境にあると指摘する。

 

「日本は縦割りの慣習が根強く、設計図を描いてコードを書く作業まで1人で完結できるITエンジニアが少ない。逆にそこを強化すれば日本は再び世界のリーダーになれる。フルスタック人材を送り出すことがわれわれの使命です」

 

スリランカ人の父と日本人の母の間に日本で生まれ、高校までスリランカで育ち、平成4年に東京農工大入学のため来日。在学中は「ロボコン」にも出場した。「当時の日本の技術は最先端で、未来を見ているようだった」と振り返る。

 

卒業後、米シリコンバレーで働くなか気がかりだったのは、国際的競争力を失っていく日本だ。現地のブートキャンプ型教育メソッドを携え戻ってきた。

 

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最上級イマーシブコースは3カ月間。学費132万円と高額ながら、医師、店員、工事現場の作業員など「本気で人生を変えたい人たち」が仕事を休退職して門をたたく。学歴職歴不問だがコミュニケーション力などの適性試験があり、合格率は17%。入学後は、午前9~午後6時(現在は5時)の授業のほかに課題が出され、自習のための教室が24時間開放されている。

 

バレエダンサーからITエンジニアになった鷲見雄馬さん(左)と高谷遼さん=東京都港区(重松明子撮影)

 

「自分が満足できるところまで行くためには深夜に及ぶ。しんどくて、気づくと鼻血が出ていた」と卒業生の高谷遼さん(27)。東欧や日本のバレエ団で主役も務めたプロのバレエダンサーだったが、「将来の保障と選択肢の少なさが気になっていた」という。

 

入学後はダンサー活動を封印。一昨年、妊娠・子育て支援アプリ「ママリ」の運営会社に入社した。「プロダクト開発を通じて社会に貢献できる喜びと、幅広い分野の方とつながりを持てたことが自分の中で大きい。体で表現するバレエ一筋だったが、論理的思考が身に付いたと思う」

 

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彼に影響を与えたのが、同じく18歳で欧州に渡り、現地バレエ界で知り合った鷲見(すみ)雄馬さん(28)だ。初期の生徒で3年前に卒業。高谷さんの初心者コースの先生でもあった。

 

鷲見さんは、機械学習データ分析アプリ基盤の構築などを手掛ける傍ら、バレエも続けている。「別の軸ができたことはダンサーとしても財産。世界の見え方が変わり、他者から自分への見られ方も変わった。稼ぐために踊るという負の連鎖に飲み込まれず、踊りを追求するための心と経済的な余裕ができました」

 

見据える目標は明確だ。「競争の世界で肉体を酷使し、引退も早い。精神と金銭的な不安が大きいダンサー支援の仕組みを、自分の技術で作り上げたい」

 

 

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バレエで培った体力と集中力をITの創造力に注ぐ彼ら。その姿は、プロ野球選手はじめアスリート全般の、セカンドキャリアのロールモデルになりえる。そんな期待を抱かせた。

 

筆者:重松明子(産経新聞)

 

 

2022年1月22日産経ニュース【近ごろ都に流行るもの】を転載しています

 

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