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【主張】エネルギー危機 露産ガスの輸入停止を 原発の早期再稼働を決断せよ

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3月17日、ウクライナの首都キエフで爆撃された倉庫の消火活動にあたる消防士
(AP Photo/Vadim Ghirda)

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ロシアのウクライナ侵略により世界市場でエネルギー価格が急騰し、日本にも打撃を与えている。国際社会では制裁の一環としてロシアからのエネルギー輸入を停止し、代替調達に切り替えていく動きが広がっている。それが価格上昇に拍車をかけている。

 

こうした世界情勢の中で、日本政府と与党に強い危機感が感じられないのは問題だ。

 

備蓄石油の協調放出やガソリン補助金など石油製品の価格抑制に取り組んではいるものの、目先の価格対策にとどまる。安定的なエネルギー調達に対する抜本策が見えない。

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サハリン(樺太)南端プリゴロドノエの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の液化天然ガス(LNG)プラント(2009年02月20日、遠藤良介撮影)

 

国難の認識持つときだ

 

まずは現下の情勢を「国難」と厳しく認識すべきだ。その上で、エネルギー資源の安定調達と電力の安定供給を確保するため、政府・与党が主導して原発の早期再稼働を促すなど、有事のエネルギー政策に転換する必要がある。

 

ウクライナに対する軍事侵攻に伴い、国際社会はロシアへの経済制裁を強化している。エネルギー分野でも米英がロシア産の原油や天然ガスなどの輸入停止を発表し、欧州連合(EU)も年内に6割減らし、2027年末までの全面停止を目指す。

 

日本も経済制裁に参加しているが、ロシア産のエネルギー輸入の停止に踏み込んでいない。岸田文雄首相は「国益を考えながら、先進7カ国(G7)各国と協調する」と語るにとどめている。国内需要の8%を賄っている液化天然ガス(LNG)や同じく13%を占める石炭などロシア産の輸入を停止すれば、調達難に陥ると懸念しているからだ。

 

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だが、自国の不利益回避を優先していては、国際的な対露制裁の結束を乱すだけである。ロシア産天然ガスに国内需要の5割超を依存するドイツは輸入削減を決め、国際社会はロシアへの制裁姿勢を強めている。日本が足並みをそろえなければ、国際社会の信頼を失いかねない。

 

ウクライナ侵略の結末は見通せないが、ロシアと国際社会の関係が近い将来、修復されると見るのは誤りだ。ロシアの国際法違反は明白で、今後は人権問題の観点からもロシア産品の使用回避が国際的な議題となろう。対露貿易継続を期待するのは楽観的すぎる。

 

世界のエネルギー危機が長期化するのを覚悟すべきだ。資源価格の高騰で電気・ガス代やガソリン・灯油などの国民負担はさらに重くなる。政府が機動的に手を打たなければ、自立したエネルギー安全保障は実現できない。

 

まずはロシアからのエネルギー輸入を中止する政治決断を下し、代替調達に向けて岸田首相がリーダーシップを発揮して積極的な資源外交を展開してほしい。米国が増産を目指すシェールガスに対し、日本企業の投資を促すような支援措置も欠かせない。

 

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同時に、安定的なエネルギーを確保するため、政府は原発の再稼働を主導すべきだ。東京電力の福島第1原発事故後、国内33基の原発の中で一度でも再稼働した原発は10基にすぎない。このうち5基は定期検査などで停止している。停止原発の稼働を急ぐべきだ。

 

美浜原発

 

世論の反発を恐れるな

 

このため、原子力規制委員会の安全審査が進んだ原発は、一時的に運転を再開させるなど、機動的な対応を考える必要がある。稼働させながら安全対策工事を認めるなど、原発の新規制基準の弾力化も不可欠だ。岸田首相は安定的な電力供給の先頭に立つべきだ。

 

自民党の電力安定供給推進議員連盟は原発の緊急稼働を求める決議をまとめた。原油価格などの高騰に対応し、「停止中の原発を含めて安全の確保を優先しつつ、緊急稼働させる措置を講じる必要がある」と政府に求めた。自民党は政府任せではなく、国民のために政治力を発揮してもらいたい。

 

経済界からも政府に原発の早期再稼働を求める声が上がり始めている。関西経済連合会は規制委に迅速な安全審査を促すため、審査要員の大幅増に加え、立地自治体への理解活動など、原発の稼働再開に向けた具体的な行動を要望した。経済界はもっと危機感を国民に伝えてもらいたい。

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岸田首相や政府・与党が世論の反発を恐れて現状維持を続ければ、日本のエネルギー安全保障は一層大きな危機に見舞われる。従来の発想や規制にとらわれない機敏な政策が問われている。

 

 

2022年3月16日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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