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【主張】ワクチン特許 日本主導で国際管理促せ

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国際社会が新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)を克服するには、ワクチンや治療薬の開発を急ぎ、全世界に行き渡らせなくてはならない。

 

そこに先進国と途上国の違いはない。主要国がしのぎを削るワクチン開発は自国向けの供給に目が向かいがちだが、保健衛生が脆弱(ぜいじゃく)な中南米やアフリカなどの途上国が取り残されると、いつまでもウイルス禍を終息させられまい。

 

その点で、5月25日に安倍晋三首相が呼びかけた「特許権プール」の創設は重要な意義を持つ。先進国が開発したワクチンの特許を共同管理し、途上国にも安価かつ迅速に供給する国際的な枠組みだ。首相は先進7カ国(G7)首脳に提案する考えを示した。実現に向けて指導力を発揮してほしい。

 

開発中のワクチンは世界で130種類以上あり、10種類は臨床試験段階だ。米国は政府や企業、研究機関を総動員して年内の実用化を目指しており、5月中旬には米バイオ企業の臨床試験で感染を防ぐ抗体が作られたという初期成果が発表された。

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ただ、トランプ政権はワクチン供給でも米国第一で独占するのではないかと疑う国もある。フランスやドイツなどが先の世界保健機関(WHO)の年次総会で「ワクチンは世界の公共財」と公平な供給を訴えたのもこのためだ。

 

首相は「(自由、民主主義などの)価値を共有する国々と手を携え、自由かつ開かれた形で世界をリードしていく」と述べた。日本はワクチン開発で溝のある米欧の橋渡しとなるべきである。米国との共同開発を推進しつつ特許権プールへの各国の参加を促し、英知と人材、資金を結集できるよう導くことが重要である。

 

懸念するのは中国の動きだ。米連邦捜査局は、中国がサイバー攻撃やスパイ活動で米国の開発情報を窃取した疑いがあるとして捜査に乗り出した。中国はコロナ後の覇権を狙って、米欧に先駆けてワクチンを量産し、アフリカなどに供給しようとしているのではないか。米当局の疑いが事実なら、そうみられても仕方あるまい。

 

ワクチン開発を覇権追求に用いてはならないのは当然である。同時に、中国が手段を選ばず透明性も欠く研究開発を続け、安全性がおろそかになる危険はないか。こうした点への警戒も怠れない。

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2020年6月4日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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