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【主張】日英新貿易協定、連携強め「自由」を広げよ

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茂木敏充外相と英国のトラス国際貿易相が日英間の新たな貿易協定について協議し、大半の交渉分野で実質合意した。8月末までに詳細を詰めて大筋合意し、来年1月の発効を目指すことでも一致した。

 

新型コロナウイルス禍でグローバル経済の脆弱(ぜいじゃく)性が露呈し、保護主義の再燃が懸念されている。その中で日英両国が自由貿易を推進する新協定で足並みをそろえた意義は大きい。

 

同時に、これを日英関係の礎とし、経済のみならず、外交や安全保障を含めたあらゆる面で、関係を強化することが望ましい。

 

英国の欧州連合(EU)離脱により、日EU経済連携協定(EPA)で英国に適用されていた関税などの優遇措置が今年末で効力を失うことが懸念されていた。両政府が6月の交渉開始後、異例の早さで発効の道筋をつけたのも、この危機感があったためである。

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英国に進出している日本企業は多い。貿易協定がなくなり、双方で関税が急激に上がるという混乱を回避するめどがついたのは、コロナ禍で苦境に立つ両国の企業にとって重要な前進である。

 

日英の交渉は日EUのEPAを土台として行われた。特に日本が強みを持つ自動車や、英国が日本に輸出する農産品の取り扱いなどが論点となった。8月末までに農産品などで詰めの交渉を行う。

 

注目したいのは、デジタル分野を日EUの協定より先進的なルールとしたことである。政府による企業への開示要求を禁じる対象に新たな項目を盛り込む。この分野で国家の介入や管理を強める中国のデジタル保護主義に対抗する狙いがあるのだろう。これを機に米国やEUとも連携し、日英の規定を国際標準にしたい。

 

英国は、日本との2国間協定だけでなく、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟も検討している。英国が加われば、日本がTPPで追求してきた自由で開かれた市場経済圏が地域的な広がりを持つ。日本が積極的に後押しすべきは当然である。

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コロナ禍の初期対応や香港問題をめぐる対中不信で、英国はかつての親中路線を大きく転換している。自由や民主主義などの価値を共有する先進国として、日英が関係を強めることは、中国による経済、軍事の覇権追求を牽制(けんせい)するためにも有益である。

 

 

2020年8月9日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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