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【主張】東京五輪へ1年、最後まで開催を諦めるな 今こそアスリートの後押しを

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新型コロナウイルスの世界的な広がりで来夏に延期された東京五輪は7月23日、2度目となる「あと1年」を迎えた。

 

本来なら新装された国立競技場に世界各地からアスリートや観客を迎え入れ、24日夜に聖火が灯(とも)るはずだった。

 

コロナ禍に打ち勝った証しとして、来夏こそ五輪を開催したい。それは多くの人々に共通する願いだったろう。

 

しかし、新型コロナの感染者は世界全体で約1500万人に増え、死者は60万人を超えた。東京でも連日、新規感染者が3桁を超えている。共同通信社が7月中旬に行った世論調査では、「開催すべきだ」との回答が23.9%にとどまり、「中止すべきだ」の33.7%を大きく下回った。五輪よりもコロナ対策の優先を求める声が多く、五輪開催への向かい風は、むしろ強まっている。

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スポーツの力信じよう

 

半面、英国などではワクチン開発も進んでいる。あと1年のうちに状況が好転する可能性もある。五輪開催を前提とした感染対策を進めなければ、経済や社会はいつまでたっても前に進めない。

 

産経新聞の調査に、9つの国内競技団体が「無観客でも開催を」と回答した。日本スポーツ界の明確な意思表示と受け止めたい。

 

感染収束の兆しが世界に見えることは前提となるが、ホスト国であるわれわれが、まずは「必ず開催する」という構えを世界に示すことだ。アスリートも五輪開催への思いを発信し続けてほしい。

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社会に自粛ムードが広がり、東京五輪・パラリンピックを目指すアスリートからは「練習することに罪悪感を覚える」との声も聞いた。国難ともいえるコロナ禍の中で、スポーツの優先順位が下がるのはやむを得ない面もある。

 

しかし、東日本大震災を思い出してほしい。日本や海外のアスリートが生々しい傷痕の残る被災地に駆けつけ、食料を届けたり、被災者を元気づけたりすることで復興を支援した。

 

「私はスポーツの真の力を目の当たりにしたのです。新たな夢と笑顔を育む力。希望をもたらす力。人々を結びつける力…かつて日本では見られなかったオリンピックの価値が及ぼす力です」

 

東京が招致を勝ち取った7年前の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、プレゼンテーションに立ったパラリンピアンの谷真海(旧姓・佐藤)はこう語った。

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昨秋のラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会では、ボランティアらがおもてなしの心で訪日客を歓待し、日本代表は初の8強入りを果たした。選手と国民が「ワンチーム」となって大会を成功させたことは、誇らしい記憶として脳裏に刻まれている。

 

スポーツはいつの時代も、社会の変化や感動という有形無形の財産を残してくれた。五輪開催が見通せない中で戦い続けるアスリートを、今度はわれわれが後押しする番ではないか。彼らの活躍は、1年後の日本の活力でもあることを忘れてはならない。

 

来夏の聖火を待ちたい

 

この期に及んでもIOCの独善が目につく。

 

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延期に伴う追加費用は数千億円と見込まれるが、IOCのバッハ会長は8億ドル(約860億円)という分担の上限額を大会組織委員会の同意なく打ち出し、日本国民の感情を逆なでしている。コーツIOC副会長は、10月が開催可否を判断する重要な時期になるとの私見を海外メディアに語った。開催の可能性はぎりぎりまで模索すべきで、無責任な発言は看過できない。このような動きが一部の「五輪不要論」を招いていることをIOCは気づくべきだ。

 

国民的な話題となった将棋の棋聖戦五番勝負は、スポーツのような派手な動きこそないが、2人の対局者が繰り広げる熱戦に時間を忘れた人は多かったはずだ。

 

藤井聡太新棋聖は「何より楽しんで指すことが一番」と語った。勝敗は二の次でいい、という意味ではない。勝つためにはどんな努力も惜しまず、その過程さえも楽しいと思えることが大切だ。そういう意味だろう。

 

五輪が感動を呼ぶのも、アスリートが4年に1度の「その日」に勝つための努力を重ねているからだ。われわれも戦いを放棄してはならない。コロナ禍に勝った証しとして来夏こそ聖火を灯そう。諦めるのはまだ早い。

 

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2020年7月23日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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