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【主張】自動車の電動化 日本の競争優位手放すな

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政府が2020年末、地球温暖化の防止に向けて、2030年代半ばに国内で販売する新車をすべて電動車に切り替える政府目標をまとめた。電動化が加速する世界の潮流を踏まえた対応である。

 

菅義偉政権が、50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするため策定した「グリーン成長戦略」に、自動車分野における脱炭素化政策として盛り込んだ。

 

電動化の対象として、電気自動車(EV)や水素を使う燃料電池車(FCV)に加えて、エンジンとモーターで駆動し、日本が強みを持つハイブリッド車(HV)を含めたのは当然である。

 

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自動車はわが国の基幹産業である。これまで世界で築いてきた競争優位を手放してはならない。それには欧米や中国などの開発動向を見極めつつ、蓄電池などの分野を含めて、世界標準となる新たな技術を確立する必要がある。

 

世界では英仏などがガソリン車の販売を30年以降に禁止する方針を打ち出している。地球温暖化を防ぐには二酸化炭素(CO2)を排出するガソリン車の厳格な規制が必要との判断からだ。

 

こうした地域ではEVへの転換を目指しているが、EVは販売価格が割高になるほか、急速充電器などのインフラ整備が大きな課題となる。1回の充電で走る距離を延ばす必要もある。

 

このため、日本ではHVも対象に電動化を進める。これまでの技術的な優位を生かし、さらに性能が高い新車の開発で着実な電動化を図るべきだ。既存インフラを活用できるHVは、新興国でも需要が根強い。官民で売り込みを図る取り組みを進めてほしい。

 

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むろんEVの開発も急務だ。とくに車両性能を大きく左右する蓄電池の開発に注力してほしい。

 

電動化に当たっては、発電部門の脱炭素化も欠かせない。トヨタ自動車の豊田章男社長も「自動車の電動化だけではCO2の排出削減にはつながらず、日本で自動車がつくれなくなる」と強い懸念を示している。

 

再生可能エネルギーの導入拡大のほか、安全性を確認した原発の活用などを包含する全体戦略を策定する必要がある。

 

日本の自動車関連産業には540万人が従事しており、電動化の成否が経済に与える影響は大きい。日本企業が世界で勝ち残るためにも政府の支援は不可欠だ。

 

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2020年12月26日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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