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【主張】露のカザフ介入 弾圧に加担した罪は重い

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中央アジアの旧ソ連構成国カザフスタンで燃料価格の値上がりに端を発した大規模な反政権デモが起き、治安機関との衝突などで160人を超える死者が出た。

 

カザフのトカエフ政権は、インターネットを遮断し、軍や治安部隊に警告なしでの発砲を認めるなど徹底的な弾圧を行った。こうした手法が容認されないことは言うまでもない。

 

さらに見過ごせないのは、ロシアが主導する軍事同盟、集団安全保障条約機構(CSTO)が「平和維持部隊」の名目で軍部隊をカザフに急派したことだ。

 

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カザフの強権体制を擁護し、この国への影響力を保持しようとのプーチン露大統領の底意を見てとれる。ロシアは軍事介入をやめ、混乱収拾をカザフ国民の手に委ねるべきである。

 

カザフの反政権デモは年初、政策変更により、自動車燃料にも使われる液化石油ガス(LPG)の価格が約2倍に跳ね上がったことを端緒とした。根底には、ナザルバエフ前大統領がソ連末期から約30年間にわたって敷いた強権体制への不満があった。

 

ナザルバエフ氏は2019年に大統領を退任したが、その後も国家安全保障会議の議長などとして院政を続けた。多くの国民は指導層の腐敗や貧富の格差といった積弊の一掃を求めている。

 

ロシアで長年の強権統治を続けるプーチン氏は、反体制機運の自国への飛び火を強く警戒している。トカエフ大統領の要請を受ける形で、ロシア軍を中心とする約2500人のCSTO部隊をカザフに派遣した。CSTOは本来、加盟国が軍事攻撃を受けた場合の安保の枠組みである。

 

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プーチン氏やトカエフ氏はデモ参加者を「国外で訓練されたテロリスト」などと称し、CSTO部隊の投入を正当化した。中国も欧米を念頭に「外部勢力による革命」を阻止したとしてロシアの介入を称賛した。またもや強権体制の護持で中露が手を組んだ。

 

しかし、カザフのデモを国外勢力が扇動したといった証拠は示されておらず、米国は部隊派遣の根拠に疑問を呈している。

 

14年のウクライナ、18年のアルメニア、20年のベラルーシと、旧ソ連圏では民主化を求める大規模デモが相次いできた。ロシアや中国はこの地域での民意の表れを真摯(しんし)に受けとめるべきだ。

 

 

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2022年1月13日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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