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【主張】9・11から20年 テロ根絶へ気を緩めるな 米国は対中シフトを強めよ

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9/11 Twin Towers memorial New York

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4機の旅客機が乗っ取られ、米ニューヨークの高層ビルなどに突入して、日本人24人を含む約3千人が犠牲になった。2001年9月11日の米中枢同時テロは、「テロとの戦い」の始まりだった。

 

当時のブッシュ米政権は、卑劣なテロを実行した国際テロ組織アルカーイダをかくまったアフガニスタンのタリバンを攻撃し、政権を崩壊させた。

 

だが、米軍はその後、アフガンでの「史上最長の戦争」を余儀なくされ、先月末、アフガン国内の大混乱を残したまま撤収した。

 

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中国は覇権を追求した

 

米中枢同時テロ20年の節目を、20年間の「テロとの戦い」を総括する機会とすることが大切だ。

 

11年5月、米軍特殊部隊が隣国パキスタン北部に潜伏していたテロの首謀者、ウサマ・ビンラーディンを殺害した。アルカーイダへの報復完了を「テロとの戦い」の勝利とすることは可能だった。

 

だが、その後も続いたアフガンでの民主国家建設は挫折し、サダム・フセイン独裁政権崩壊後のイラクでも同様の状況が生じた。

 

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「テロとの戦い」は実行者の処罰や拠点攻撃などにとどまらない。究極的には、貧困をなくし、行き場のない不満を解消しなければならない。民主国家建設の試みもそれが目的だった。

 

テロへの備えは、終わることのない国際社会の課題であり、各国ともに得意分野での貢献が求められる。日本は過去の実績を生かした途上国支援を進めたい。

 

20年の節目はまた、「テロとの戦い」の陰で、世界がどう変化したのかを冷静に振り返る機会ともしなければならない。

 

バイデン米大統領は、アフガン撤収に踏み切った大きな理由として、外交、安全保障上の最優先課題と何度も強調する中国との競争に注力することを挙げた。

 

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その判断は、基本的に間違っていない。

 

「8月末」を期限としたアフガンからの米軍撤収の過程で、米国はタリバンの大攻勢を許し、国外退避希望者の多くを置き去りにするなど、大きな失態を演じた。

 

それでもアフガン撤収は避けて通れなかった。国家対テロリストの「非対称戦」に区切りを付け、中国との「大国間競争」を本格化させる必要があったからだ。

 

中国はルール違反の海洋進出や不公正な通商慣行の押し付け、経済力にモノをいわせた節度のない援助で影響力を拡大し、国際秩序に挑戦している。

 

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軍事力を背景にフィリピンやベトナムなどと領有権を争う南シナ海への進出を本格化させ、軍事施設の建設を進めた。日本は尖閣諸島(沖縄県)奪取の企てなど直接の脅威にさらされている。

 

中国は巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げて途上国の港湾や道路などのインフラ建設を支援し、相手国を過剰債務に陥らせ、施設の使用権を手中に収めるなどした。

 

 

日本は同盟国の覚悟を

 

強硬路線は習近平政権(12年総書記就任)以降顕著になった。だが、02年共産党大会で当時の江沢民国家主席が、21世紀初めの20年間を「戦略的好機」と位置づける発言をしていたことに留意する必要がある。米国主導の「テロとの戦い」が長期に及ぶとの見通しの下、覇権追求に邁進(まいしん)したのだ。

 

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米国が対中シフトを試みたのはオバマ政権下の11年のことだ。リバランス(再均衡)政策と呼ばれたが、実体を伴わなかった。アジア太平洋地域への資源や兵力の集中は、アフガン、イラクの米軍撤収が前提であり、それがかなわなかったのが大きな要因だ。

 

バイデン大統領は9日に習近平国家主席と電話会談し、米国がインド太平洋および世界の平和と安定、繁栄に「永続的な関心」を抱いていることを強調した。

 

大統領は就任以来、不公正貿易や人権侵害、サイバー攻撃など中国の問題点を幅広く指摘し、制裁などの厳しい措置を取っている。台湾海峡の平和と安全の重要性にも繰り返し言及している。

 

民主主義を共通理念とした日米や米欧、日米豪印(クアッド)による連携強化、東南アジア諸国連合(ASEAN)への接近なども評価できる。対中シフトへの決意を示してきたといえよう。

 

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米国は「リバランス」を今度こそ実現させ、中国との競争を勝ち抜かねばならない。日本は米国との同盟関係を深め、「強い米国」を支える覚悟が必要である。

 

 

2021年9月11日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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