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【主張】WTO新トップ ルール再構築を最優先に

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コロナ禍で世界の貿易が混乱するさなか、約6カ月もトップが不在だった異例の事態に、ようやく終止符が打たれる。世界貿易機関(WTO)がナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相を新事務局長に選んだ。3月1日に就任する。

 

女性としてもアフリカ出身者としても初めての選出だ。世界銀行の専務理事や途上国へのワクチン普及を進める国際組織の理事長も歴任した。国際社会での豊富な経験や人脈を生かし、WTO改革に向けた指導力を発揮するよう期待したい。

 

発足から四半世紀を過ぎたWTOは、先進国と途上国の対立で自由化交渉が停滞するなど、さまざまな軋(きし)みが生じている。米中対立にも効果的に対処できず、「自由貿易の番人」としての機能の低下は明らかだ。ルールを再構築し、体制を立て直すことが新事務局長としての最大の責務となる。

 

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2月15日に就任が正式承認されたオコンジョイウェアラ氏は記者会見し、WTO改革を最優先課題とした上で、機能不全に陥った紛争処理制度の仕組みづくりに全力を挙げる考えを示した。

 

紛争処理の「最高裁」である上級委員会は、審理に不満を持つ米国の反対で欠員を補充できず、機能が止まったままである。制度改革の議論を加速させるのはもちろん、まずは審理可能な陣容に戻せるよう米国を促すべきだ。

 

デジタル経済に対応したルール作りやWTO協定の履行を監視する通報義務の強化なども早急な成果が求められる課題である。

 

特に重要な視点は、貿易の恩恵を享受しながら不公正な貿易慣行をやめない中国とどう向き合うかだ。米国は中国が途上国扱いのまま通商上の優遇を受けていることなどを批判している。この認識は正しく、大国にふさわしいルールの適用を中国に迫るべきだ。

 

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オコンジョイウェアラ氏に対しては、通商分野の経験が少ないことに加え、中国が存在感を高めるアフリカ出身であることを持ち出して、中国に影響力を行使されると懸念する声もある。トランプ前政権時の米国が選出に反対していたのもこのためだろう。

 

だが、米国勤務が長く、実績や手腕が国際社会に高く評価されていることを踏まえれば、その資質を短絡的に判断するのは適切ではない。まずは改革の戦略やその具体策をみなくてはならない。

 

 

2021年2月18日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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