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コロナ治療、劇的改善「軽症者向け飲み薬」開発加速

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新型コロナウイルス感染症の軽症者向け飲み薬(経口薬)の開発競争が本格化している。新規感染者が連日1万人を超える中、コロナ禍収束のためには、ワクチン接種だけでなく、効果的な治療薬の実用化が欠かせない。とくに感染初期に風邪薬のように服用できる経口薬ができれば、感染者の重症化予防に加え、医療現場の負担軽減への効果も期待できる。既に、国内外で複数の新薬候補の臨床試験(治験)が進み、実用化に向けた大詰めの段階に入ったものもある。

 

 

重症化、感染拡大防ぐ

 

国内で現在承認されている新型コロナ治療薬は、抗ウイルス薬レムデシビルと、過剰な免疫反応や炎症反応を抑えるデキサメタゾンとバリシチニブに加え、新型コロナ向けに開発された「抗体カクテル療法」のカシリビマブとイムデビマブ。

 

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このうち7月に特例承認された「抗体カクテル療法」の医薬品は、軽症患者を対象に含む。感染拡大で急増する自宅療養者に対応するため、8月には外来患者まで投与対象が拡大された。他の承認薬と違い、初めて軽症患者を対象とした治療薬として期待は高いものの、点滴薬のため投与には場所や人手などが必要で、現時点では自宅では使えない。

 

現在開発が進む経口の抗ウイルス薬の最大のメリットは、使い勝手がよく、ウイルスが増殖する感染初期段階を狙い撃ちできることだ。自宅療養する無症状・軽症患者が感染発覚後すぐに服用すれば、重症化だけでなく感染拡大を防ぐ効果も期待できる。さらに、病床不足などで逼迫する医療現場の窮状を打開できる可能性がある。

 

またワクチンでできる抗体が標的にしているウイルスの表面タンパク質は変異しやすく、ワクチンが効かなくなる可能性が指摘されるが、開発中の経口薬はウイルスの別の部位に作用するため現時点で確認されている変異の影響を受けにくいという。

 

 

予防・診断・治療の三本柱

 

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現在、多くの企業がさまざまなタイプの経口薬の開発を進めており、このうち先行するのは、米製薬大手メルクが開発中の「モルヌピラビル」と、スイス製薬大手ロシュが手掛ける「AT―527」の2剤。いずれも細胞内に侵入したウイルスの遺伝子を増やせなくする「RNAポリメラーゼ阻害剤」で、レムデシビルや富士フイルム富山化学の新型インフルエンザ治療薬「アビガン」と同じ仕組みで働く。日本を含む大人数の患者を対象とした国際共同治験が最終段階に入っている。

 

メルク子会社のMSD日本法人によると、モルヌピラビルの治験対象は、発熱やせきなどの症状がある感染初期の外来患者。1日2回、5日間にわたり薬を服用し、偽薬を服用した患者との間で有効性を比較する。最終データは10月までに得られる見込み。米国で年内の緊急使用許可の申請を目指しており、その後速やかに日本国内での承認申請を行う予定という。

 

ロシュ子会社の中外製薬によると、AT-527はもとはC型肝炎治療薬として開発された。新型コロナの軽症から中等症の患者が対象。治験の中間解析によると、薬剤を投与された中等症患者と偽薬を投与された患者と比べたところ、薬剤投与2日目でウイルスを平均80%減少させる効果が確認されたという。

 

年内にも治験の最終的な結果が得られる見通しで、中外製薬は日本国内で来年の承認申請を目指す。同社の関雅也プロジェクトリーダーは8月26日の記者会見で「経口薬は軽症から重症化を防いでいくところが非常に重要なポイントだ。できるだけ努力し生産数を増やしていきたい」と話した。

 

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米製薬大手ファイザーも「PF─07321332」と呼ばれる経口薬を開発中で、今月1日には重症化リスクが低い非入院患者約1140人を対象に有効性と安全性を確認する治験を開始したと発表。ウイルスの部品になるタンパク質を作れなくする「プロテアーゼ阻害剤」と呼ばれるタイプの薬剤で、別の抗ウイルス剤と併用投与し効果を確かめる。

 

国内では、塩野義製薬がプロテアーゼ阻害剤の新薬開発を進めている。7月に少人数で安全性を検証する治験を始め、年内に大人数を対象にした最終段階の治験入りを目指す。年内の承認申請も検討している。

 

同社の担当者は「インフルエンザのように予防、診断、治療の三本柱がそろって初めてアフターコロナの日常を迎えられる。安全で有効性の高い経口薬の開発を急ぎたい」とする。

 

 

対コロナの大きな武器

 

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田村憲久厚生労働相は今月3日の閣議後会見で、各企業が開発する経口薬について「申請されれば特例承認もありうる。なるべく早く国民に提供できるようにしたい」と述べ、早期実用化を後押しする考えを表明。厚労省は同7日、塩野義製薬などに補助金を交付しコロナ新薬の開発を支援する方針を発表した。

 

新型コロナの治療法や治療薬に詳しい愛知医科大の森島恒雄客員教授は「インフルエンザ治療薬の『タミフル』のように、誰でもどこでも飲める経口薬が今最も望まれている。感染してもすぐに治せる有効性の高い経口薬が実用化されれば、世界中で普及し、ワクチンと並ぶ対コロナの大きな武器になるだろうと話している。

 

筆者:有年由貴子(産経新聞)

 

(2021年9月12日産経ニュース【クローズアップ科学】を転載しています)

 

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コロナ新薬「ソトロビマブ」を特例承認 厚労省

 

厚生労働省は27日、英製薬大手グラクソ・スミスクラインなどが開発した新型コロナウイルス感染症の新しい治療薬「ソトロビマブ」を特例承認した。軽症や中等症のうち重症化リスクの高い患者が対象で、効果が検証され国内での使用が認められた5例目の薬となる。

 

ソトロビマブは、グラクソと米ビア・バイオテクノロジーが共同で開発し、米国では既に緊急使用許可を得ている。基礎疾患や肥満など重症化リスクのある患者が対象で、ウイルスが人の細胞に結合して感染するのを妨げる抗体を点滴で1回投与する。

 

グラクソによると、海外の臨床試験では、偽薬を投与した場合に比べ入院や死亡を79%減らす効果が示された。また試験管内の実験では、デルタ株など変異株への効果も確認できたという。

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