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中国の「世論操作」 世界に拡散

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今やパンデミックと化した、新型コロナウイルスという「見えない敵」との戦いに勝利するために死活的に重要となるのは、各国がウイルスに関する情報を迅速かつ誠実に共有していくことであることは論をまたない。

 

しかし、世界が未曽有の危機にさらされる中においても、こうした「常識」を働かせようとしない国がある。新型コロナ感染の発生国である中国、トランプ米政権が中国と同様に「戦略的競争相手」に位置付けるロシア、そして米国と核問題で対立するイランだ。

 

 

荒唐無稽な陰謀論

 

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これら3カ国は、ウイルス感染情報の隠蔽や偽装だけでなく、新型コロナ危機を利用して米国の国際的信用をおとしめるという共通の目的の下、互いに連携して世界規模のディスインフォメーション(偽情報)工作を展開している。

 

「新型コロナは中国湖北省武漢市に米国が持ち込んだ」「新型コロナは米国の生物化学兵器だ」などとする荒唐無稽な陰謀論は、全て中露とイランが仕組んで流布したものだ。

 

そして米政府には、敵対勢力からのこのような偽情報工作を監視・分析し、公の場で正していくための専門組織が存在する。国務省の「グローバル関与センター」(GEC)だ。

 

国務省の内情に詳しい元米政府高官によれば、GECは2016年に設立。イスラム過激派によるネット空間の宣伝工作に対抗するための「戦略対テロ連絡センター」(CSCC、11年設置)の後身組織で、17年以降に中露とイランの専門部署を新たに追加した。

 

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ソーシャルメディアで拡散

 

現在の組織トップは女性のリー・ガブリエル特使兼調整官(45)。米海軍士官学校を卒業し、FA18戦闘攻撃機の操縦士などを務めた。続いて情報機関員としてアフガニスタンに派遣されるなどした後、複数のテレビ局の記者を経て国務省に入ったという異色の経歴の持ち主だ。

 

ガブリエル氏が記者団に語ったところでは、中国は「一連の危機対応で中国共産党体制が最も優れていた」とする「物語」の拡散に全力を傾注している。

 

特に「中国はウイルスの封じ込めに成功した」「ウイルス対策で国際連携を進めよう」「世界保健機関(WHO)は中国を称賛している」「中国経済は強靭(きょうじん)だ」といったメッセージをソーシャルメディアなどを通じて積極的に発信していることが、西半球やアフリカ大陸、イタリアなどで拡散された情報を分析したところ判明したという。

 

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「日本版GEC」を

 

中国が自らの印象を向上させる工作に力を入れるようになったのは、「ウイルス米国起源説」や、「新型コロナを『中国ウイルス』と呼ぶのは人種差別的」との世論を喚起する工作が不発に終わり、戦術の転換を図ったためだそうだ。

 

ウイルスの封じ込めが世界的な喫緊の懸案となる中で、中国にウイルス発生の原因をただし、感染初期の情報隠蔽などの責任を取らせるのが後回しになるのはやむを得ない面もある。

 

しかし、その間に中国が自らに都合の良い方向に国際世論を操作する工作を許してよいわけがない。

 

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同時に、新型コロナに限らず、中国の偽情報工作の脅威に常に直面している日本としても、「日本版GEC」のような専門組織を立ち上げる時期が来ているように思えてならない。

 

筆者:黒瀬悦成(産経新聞ワシントン支局長)

 

 

2020年4月1日付産経新聞【黒瀬悦成の米国解剖】を転載しています

 

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