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中国の治安当局幹部が相次ぎ失脚、「新たな粛清」に戦々恐々

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4月中旬から5月初めにかけ、中国国内で治安担当の大物幹部が相次いで失脚し、波紋を広げている。

 

米中対立が激化するなかで、米側に機密情報を漏らしたことが原因ではないかとささやかれている。「新たな粛清が始まる」と関係者は戦々恐々としている。

 

最初に失脚したのは公安省次官の孫力軍氏だ。昨年末まで香港の反中デモ対策を担当していた。デモ学生らを容赦なく拘束し、中国内陸部に連行するなど、すご腕を振るった。湖北省武漢発の新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)が始まると、1月に武漢に派遣され、都市封鎖など陣頭指揮をとった。

 

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重要な任務を次々と任された孫氏は、「次期公安相の筆頭候補」とも言われたが、4月中旬に北京に突然呼び戻され、拘束された。

 

その後、中国官製メディアは孫氏について「両面人(裏切り者)」、「公安省の癌(がん)」などと厳しく糾弾した。これまでの中国要人の失脚は「汚職」「収賄」などが理由として挙げられることが多かった。しかし孫氏の場合は、経済問題について全く触れられなかったことで逆に注目された。

 

若い時にオーストラリアに留学し、公共衛生で修士号を持つ孫氏は、医療分野に詳しい。武漢でウイルス研究所を調べ上げ、情報を集めたとも言われている。

 

米国や英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダという英語圏の情報機関ネットワークである「ファイブアイズ」はその後、ウイルス感染源に関する「多くの情報を入手した」としているが、孫氏が情報源ではないかと推測する関係者もいる。

 

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孫氏の失脚と時をほぼ同じくして、司法相の傅政華氏も更迭された。警察出身の傅氏は、孫氏のかつての同僚だ。北京市の公安局長時代に、高級幹部子弟など特権階級が経営する有名なナイトクラブ「天上人間」を摘発したことで知られ、中国メディアに一時、英雄視されたこともあった。

 

5月に入り、孫氏の後ろ盾とされる治安担当のトップだった孟建柱・前政法委書記が、自宅から複数の軍人に連行されたと香港紙や台湾紙が伝えた。

 

孟氏は現役時代、前任者だった周永康氏の失脚を受け、治安当局内で周氏一派の残党粛清に力を入れた。講演などで「周氏が残した毒をきれいにしなければならない」と繰り返し強調した。

 

しかし、引退からわずか3年で孟氏も周氏と同じ運命をたどることになった。治安当局内ではこの先、「孟氏一派の残党狩り」が始まるとみられる。

 

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中国治安部門の要人失脚ではこれまでも、国際刑事警察機構(ICPO)総裁を務めた前公安省次官の孟宏偉氏が2018年9月、一時帰国した際に職権乱用容疑で逮捕され、その後、懲役13年6月の実刑判決を受けている。

 

北京在住の人権派弁護士は、「中国の治安当局者で不正蓄財した資産をひそかに海外に運び出す幹部も多い。だが、その手口や資産のありかを外国の情報機関に把握され、『問題を公表して資産を没収する』と脅されれば、やむなく協力者になってしまうこともある」と明かす。「孫氏らのケースがそれに当てはまるかどうかはわからないが、治安当局者がここまで頻繁に失脚することは、穏やかな事態ではない」と話した。

 

筆者:矢板明夫(産経新聞台北支局長)

 

2020年5月13日付産経新聞【矢板明夫の中国点描】を転載しています

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